2009/08/13
フェラチオでセックスを知るということ
回想 | |
みっちゃんはバスト100センチを越える大きな乳房の持ち主で、腰まわりもお尻も乳房に負けず大きい女性であった。僕より六歳年上だったみっちゃんはそのとき25歳だった。僕もみっちゃんも互いに初めての異性との付き合いであり、ある冬のこと、僕たちは初めてのセックスをした。みっちゃんの部屋のこたつのなかで、みっちゃんのご両親の留守を忍んでやったのだ。それから僕たちは狂ったようにセックスをした。とりわけみっちゃんの気の違いようははなはだしく、セックスのあいだじゅう、みっちゃんは人が変わったように快感を求め、貪っているようであった。そして僕は僕で、自分が射精することだけを考えていたように思う。僕たちは時には一日中ラブホテルに篭り、午前9時から夕方6時までのサービスタイムのあいだじゅう、八度とか多いときには十度ほどセックスをした。
僕たちがはじめてセックスをしてから一年半ほど経った、ある夏のことであった。ドアを開けて中に入ると、ピンクや橙の毒々しい装飾があった。外の暗さとはまったく隔てられた個室である。物音のない昼下がり、その部屋の明るさのなかでみっちゃんの首筋に汗がひとすじ光っている。夏の午後、僕とみっちゃんはラブホテルに入ったのである。二人、衣服をすっかり脱いだ。二人の裸かの上を、光がキラキラと反射している。僕の前にみっちゃんの乳房や陰毛の照りがあり、みっちゃんの前に僕の弛み勝ちな腹と、下腹部の膨らみとがあった。「脱がせてえな」僕は言った。みっちゃんは上目遣いのままひざまづくと、僕の下着を何も言わずに剥ぎとる。みっちゃんはすでに素っ裸である。僕はみっちゃんの顔に股間を押し付けると、粘膜のぬめりが僕を包み込んでゆく。みっちゃんが口いっぱいに頬張っていたのだ。
みっちゃんはフェラチオが上手ではなく、僕はそれを強要どころかまともにさせたことがなかった。「してくれんの?」僕が聞く。するとみっちゃんは何も言わずに両手を僕の股間にあてがい、頬をへこませたままで頭を前後にゆすぶった。そのたび、赤黒く膨張しているであろう亀頭を通じてみっちゃんの息遣いや舌ざわりや、或いは唾液の温みが伝わってきて、「嗚呼……」と僕は嘆息した。みっちゃんは上目遣いのまま、快感に咽ぶ僕の顔を凝視していた。
みっちゃんは生理の最中であった。生理のときにやるセックスが気持ちいいというのは、経験の少なかった当時の僕が、きっと雑誌か友人の伝聞か聞き知ったことに違いなかった。すべての女性がそうでないこともあるだろう。現にみっちゃんは生理が結構重く、生理のあいだは体調を軽く崩すこともあったので、僕は生理中にセックスをしようなどとみっちゃんに言い出したことはなかったし、みっちゃんもそれを望まなかった。「今日生理やから、ゴメンね」生理のときはいつもそう言った。しかし、その日はそうは言わなかった。僕はいきなりフェラチオをしてくれたみっちゃんをいぶかしんだ。フェラチオの下手なみっちゃんが丹念に、上手にフェラチオをしているのも気にかかっていてのことだった。胸騒ぎはやはり、快感を鈍くさせてしまう。それで僕は「これで勘弁してね、今日は」ということだったのだろうと思うことにした。まんまるなみっちゃんの裸かのみっちゃんの傍らに、生理用品とショーツが無造作に放り投げられていた。
みっちゃんはフェラチオが上手になっているようであった。僕はそのことに胸騒ぎを禁じえず、しかしその不安に気をとられるとたちまち快感の反響が小さく、ともすれば何も感じなくなってしまうので、考えないことにした。両脚を踏ん張って腰をすっかりみっちゃんに預ける。そうしてフェラチオをされているあいだ、僕はあることに気がついた。性的快感を自在に操ることができないのである。みっちゃんのなすがままにされているのだから当然だ。ともあれ、快感は小さい波となって少しずつ僕を襲い、しかし、射精にいたるまで強いものではないので、僕は時間を経過するごと、焦りにも似た感覚を得ていた。焦る僕の目の前には、眉間に皺を寄せ、ときおり、餌付きながらもじゅるじゅると音を立てながら僕の陰茎を吸い続けるみっちゃんの姿がある。僕はその膝立ちのみっちゃんの裸かに胸を締め付けられるようであった。できればこのまま自分の手で射精を済ませてしまいたかったが、その行為がみっちゃんのこれまでの労苦を無にするであろうことを考えると、それも叶わなかった。「みっちゃんもこういうもどかしさを感じているのかな、セックスのとき……」と僕は思った。
このまま射精してしまうよりほかないな、と僕は決心した。僕はみっちゃんが自分の陰茎を口いっぱいに含んでいるのを上体を曲げて凝視した。その光景は耽美というよりほかなく、みっちゃんの美しく潤んだ分厚い口唇は、恥垢に汚れた僕の黒ずんだ陰茎を含んで、張り詰めていた。いやらしい音がそこから絶えず聞こえてくる。陰茎が熱くなってくるのがわかる。みっちゃんの口はますます音を強く立て、摩擦は激しくなってゆく。額を汗が垂れるのがわかった。汗が目尻の横を落ちてゆくと、こそばゆさを感じてそちらに気をとられてしまう。すると、昂ぶった快感の緊張が一気に緩んでしまった。みっちゃんの顔はますます歪んで苦しそうになっている。僕は焦りを掻き消すようにみっちゃんの顔を、汗まみれの裸かをみつめた。みっちゃんが僕の陰茎を咥えていた。亀頭を刺激させるたびに快感が訪れる。その波を煽るように僕は息を吸い込み、ゆっくりと吐いた。まるで外国のポルノ女優のようだな、と思った。歯の閉じた隙間から息を吸い込むと、快感がいくらも増幅し、やがて大きくなってゆく。それは全身を巡って陰茎へと寄せて戻り、みっちゃんの口に含まれた陰茎の鼓動が早くなってゆく。声を出す。いつもみっちゃんがやるようにやさしく、やがて甲高く、激しく喘いでみる。そうすると溢れる感情のように感情がじわりじわりと増してゆくのがわかる。僕を見つめるみっちゃんの目がやさしく開いた。眉がつりあがり、微笑んだような気がした。その瞬間、遂に射精した。艶やかな口唇がまだ、震える僕の陰茎に吸いついている。亀頭の先端を舌で舐めまわしている。ゆっくりと口から陰茎が引き抜かれる。みっちゃんの口唇と亀頭のあいだに糸が引いていた。「はあ……」僕のため息は快感の悦びに貫かれた女性のようだった。僕は疲れてしまい、みっちゃんに抱きついた。それもまた、いつもみっちゃんがやるような仕草だった。「気持ちよさそうやったな」みっちゃんはそう言うと、うがいをした。僕は後ろからみっちゃんに抱きついていた。
フェラチオをされるというのは、女性が快感を得るときの様相に似ているな、と僕はそのとき感じたものだった。与えられる快感をひとつひとつ丁寧に噛み締める。細く息を吸い、吐く。そうして快感を高めてゆく。一方的に受ける刺激には波があり、集中を欠いてはそれらはたちまち散り散りに霧散してしまう。僕はそれ以来、みっちゃんの集中を損なわないようにセックスすることを心がけるようになった。僕の体温を感じていられるように、刺激の波が途切れず、また、みっちゃんのつくる調子を崩さないように腰を動かし、肌を愛撫することを心がけた。一度のフェラチオは僕とみっちゃんのセックスを変えた。それ以来僕たちは、ゆっくりと、時間をかけてセックスをするようになったのである。
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