Print this Post Article Lists Back

消滅した「台風」が韓国で猛威(下)

(3)韓半島周辺で発生する

 済州大のムン・イルジュ教授(海洋科学科)が気象庁の依頼を受け、1951年から2008年までの台風のうち、韓国国内に影響を及ぼしたものについて「最低気圧の変化の推移」を調査した結果、台風の最低気圧が下がる傾向がはっきりと現れた。70年代までは、最低気圧の平均は980ヘクトパスカル(気圧の単位)を上回っていたが、80年代以降は気圧が下がる傾向を示し、以前より7ヘクトパスカル程度低くなった。

 風は高気圧から低気圧に向けて吹くため、最低気圧が低くなるほど、台風はさらに強くなる。ムン教授は、「最近では、以前よりもさらに強い台風が韓半島に接近している、という意味だ」と語った。

 この傾向は、2000年代に入って以降は特に著しい。過去57年の間に韓半島に影響を及ぼした台風のうち、03年の「メミ」をはじめとして、2000年以降に発生した3つの台風が最低気圧歴代5位内にランクインした。

 「強くなる台風」は、風速データを見ても分かる。ムン教授によると、1970年から2006年までの37年間、台風を含め韓国全域に吹き荒れた暴風のうち、「瞬間風速」1位から5位まではいずれも2000年以降のものだった。06年10月に江原道束草で観測されたのは秒速63.7メートル。03年9月に済州島に上陸した台風「メミ」は秒速60メートルで、鉄塔まで倒してしまうほどの「スーパー台風」だった。財産上の被害額が最も大きかった台風もまた、第1位は02年の「ルーサー」、第2位は03年に発生した「メミ」だった。

(3)韓半島周辺で発生する

 1951年以降、現在(2009年8月12日)までに北太平洋で発生した1546個の台風のうち、1156個(75%)は北緯20度以南の低緯度地域で発生した。ところが90年代以降、北緯20度以北の中緯度地域での台風発生率が増え、台風が韓半島に接近する可能性が大きくなっている。

 本紙が気象庁国家台風センターの協力を得て1990年から5年ごとに区切って分析した結果、90年代前半の時点で22.2%だった中緯度地域での台風発生率が、2000年代後半(05-09年)には31.7%まで高まっていた。特に今年は、日本本土からわずか700キロの地点で今月9日に発生した台風9号「アータウ」と8号「モーラコット」、7号「コーニー」の3つが中緯度地域で連続発生するなど、9個の台風のうち4個(44.4%)が中緯度地域で発生した台風だった。

 専門家らは、地球温暖化による海水面温度の上昇を主な原因と見ている。ソウル大海洋研究所人工衛星研究センターのパク・ギョンエ教授は、「中緯度地方の海水面温度が以前より大幅に高くなり、台風が発生しやすい環境になっている。実際に、北太平洋の海水面温度が摂氏28度の場所を結んだ等温線は、毎年平均緯度0.6度ずつ北上している」と語った。

 要するに、韓半島にやって来る台風が徐々に強さを増し、気まぐれになっているのは、「化石燃料を使うことで排出された温室効果ガスが地球を暖めているからだ」というわけだ。

パク・ウンホ記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

このページのトップに戻る