中朝国境で前例ない輸出規制
強硬路線だった北朝鮮がクリントン元米大統領を通じ、米国に融和メッセージを送ったのに続き、現代グループの玄貞恩(ヒョン・ジョンウン)会長による訪朝を認め、南北関係の改善にも前向きなシグナルを送っているのはなぜか。
北朝鮮消息筋と脱北者は「北朝鮮が信じていた中国が過去にない強硬な制裁措置を取り、北朝鮮の食糧事情に直接的な悪影響を与えたことが北朝鮮を動かした要因の一つだ」との見方を示している。
中朝関係に詳しい消息筋によると、中国は最近、国境地帯を中心に、北朝鮮への輸出物資を徹底的に監視、規制している。中朝両国を往来する企業関係者は「中国は核、ミサイルはもちろん、軍事用に転用できるすべての金属、化学物質の北朝鮮への持ち込みを禁止し、それに違反した中国企業を厳しく処罰すると予告している」と証言した。同関係者は「中国がこれほど北朝鮮に圧力をかけるのを過去に見たことがない」と話した。実際、中国は先月末、ミサイル部品の原料として使用される金属のバナジウムを国境の遼寧省丹東市で北朝鮮に密輸される直前に押収している。中国は北朝鮮の対外貿易の70%を占める最大の貿易相手国だ。
中国側の措置のうち、現実的に北朝鮮にとって最もつらいのは食糧輸出の規制だ。消息筋によると、中国政府は先月から自国の食糧事情を理由に、北朝鮮への食糧輸出を中断し、25キログラムを上限として、個人的な食糧持ち出しだけを認めているという。
さらに、中国吉林省延辺朝鮮族自治州延吉市周辺の国境地帯では、「食糧不足で北朝鮮を脱出する住民を助けろ、費用は政府が負担する」という州政府の指示が住民を対象とする講演会などを通じ伝えられたという。
昨年の北京五輪を契機に高まった公安当局の脱北者摘発の動きもほとんどなくなったという。「脱北者が麻薬関連など凶悪犯罪を犯さなければ、特に捕まえない」(中国公安関係者)という。
7月に国連食糧農業機関(FAO)がまとめた作況見通しと食糧状況によると、北朝鮮では独自生産能力の不足、海外からの援助減少により、秋の収穫期まで600万人以上の住民が窮乏するとみられる。それだけに北朝鮮にとって現在の状況は泣きっ面にハチだ。
最近平壌から来たという北朝鮮の公務員は「平壌市民に対する配給も数カ月にわたり中断している。平壌も既に配給が有名無実化した地方のようになるのではないかという不安感が中心階層を動揺させているほどだ」と語った。
姜哲煥(カン・チョルファン)記者
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