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ナチ宣伝映画「意志の勝利」…67年ぶり日本上映

映画史に残る過去最大の問題作

映画「意志の勝利」(クリックで拡大)

 ナチスドイツの党大会を克明に記録したナチのプロパガンダ映画「意志の勝利」。レニ・リーフェンシュタール監督の名とともに、映画史に過去最大の問題作として名が刻まれているこの映画が、都内で上映されている。日本での公式上映は67年ぶりだ。

 「意志の勝利」は1934年、ニュルンベルクで開かれたナチ党大会の記録映画で、ナチの勢力を誇示するためヒトラーの肝いりで製作された。映画ジャーナリストの田中宏子氏は「モンタージュ理論を確立した『戦艦ポチョムキン』と並ぶ2大プロパガンダ映画。空撮や移動撮影による映像は力強く、その間に唐突なカットを挿入するなど、編集も鋭い」と解説する。

 製作目的がナチス賛美のため、ドイツでは今も法律で上映が禁止されている。日本では戦時中の42年に東京・新宿の映画館で上映されただけで、有志による上映会やドイツ史研究のための資料として映像が出回っている程度だった。

 今回、上映を企画した映画プロデューサーの鈴木淳一氏は、かつてレニ監督映画の配給にかかわったことがあり、数年前から上映を考えていた。「夏は戦争問題を真剣に考える季節。再び戦争の悲劇を繰り返さないために、過去を知ることは大事ではないか」と語る。

 昨年末に米国の映画会社からニュープリントを入手。インターネット上に流出しないよう厳重に映像を管理するなどの条件で上映権を取得した。今年から日本で配給会社や上映劇場探しに動いたが「大手は軒並み門前払い。そうでなくても及び腰」(鈴木氏)と厳しい状況の中、東京・渋谷のシアターNでの上映が決まった。最初に手を挙げた映画館が出て安心したのか、その後、幾つかの映画館も上映を申し出て、現在調整が進んでいる。

【「見なければ始まらない」】

 田中氏は「今回の一般上映には覚悟が必要だったであろうが、見る機会を与えてくれたことに感謝したい」と話す。そして、過去に上映反対運動が起こった「プライド 運命の瞬間」「靖国 YASUKUNI」などを挙げ、「見なければ始まらない。評価しようと、批判しようと、あとは各個人の問題ではないか」と指摘するのだ。

 鈴木氏は「二度と惨劇を繰り返さないための反面教師。ドイツとイスラエルの大使館にも趣旨を説明する手紙を送っている」と話す。

 映像も使い方によっては、世論の形成や誘導に極めて効果的という実例。“映像の世紀”の恐ろしさを学ぶのにはまたとない教材だ。

 9月もロングラン上映される。

ZAKZAK 2009/08/13

意志の勝利

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