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医学部さらに「広き門」10年間は継続へ[教育動向] 渡辺敦司 2009/08/13 15:00:00
深刻化している医師不足の対策として、昨年度から大学の医学部の定員が増やされていることは、何度かこのコーナーでお伝えしました。政府はこのほど、2010(平成22)年度はさらに369人増やして計8,855人とすることを発表しました。しかも、今後10年間(2019<平成31>年度まで)継続するとしています。医学部を目指す受験生や、お子さんを医者にさせたいと思っていらっしゃる保護者のかたには、朗報と言えるでしょう。
医師の数は国民の健康生活はもとより社会保障費にも大きな影響を与えるため、国が医学部の定員を決めて需給を調整する「計画養成」が行われています。過去には「一県一医科大学」などの政策により1981(昭和56)年度には国公私立を合わせて8,280人にまで増加されたのですが、その後、医師の供給過剰が指摘され、定員削減に方針を転換。2007(平成19)年度には7,625人に減らされていました。 2008(平成20)年度は前年度比168人増の7,793人としましたが、あくまで養成数の前倒しという「暫定的な定員増」とされていました。それが2009(平成21)年度は「早急に過去最大程度まで増員するとともに、さらに今後の必要な医師養成について検討する」(「骨太の方針2008」)と、明確に方針を転換。定員は同693人増の8,486人(国立4,528人、公立787人、私立3,171人)となりました。 さらに、今年6月に閣議決定された「骨太の方針2009」では、「地域間、診療科間、病院・診療所間の医師の偏在を是正するための効果的な方策及び医師等人材確保対策を講ずる」と、より前向きな方針が示されました。これを受けて、今回の増員が決まったわけです。具体的には、▽「地域枠」として各都道府県で7人以内、最大329人▽複数大学の連携による研究医養成のために最大10人▽歯学部定員の削減を行う大学の特例として最大30人……の計369人の増員を認めるとしています。 これにより、2010(平成22)年度の医学部入学定員は8,855人となります。2007(平成19)年度と比べれば16%(1230人)増、1981(昭和56)年度と比べても7%(575人)増です。 増員期間の最終年度である2019(平成31)年度と言えば、今年度の小学3年生が現役で大学に入学する年です。今からしっかり勉強に力を入れておけば、決して手の届かないものではないでしょう。 ただ、激烈な受験競争の真っただ中だった1980(昭和55)年前後よりも医学部が「広き門」になるわけですから、「大学全入時代」でトップクラスの大学も含めて学力低下が心配されている折、医学生の学力や資質・能力には、厳しい視線も向けられそうです。医学部志望者には、確かな学力はもとより、明確な志望動機や、高い倫理観、理想の医師像にまい進する向上心なども、今後いっそう求められると言ってよいでしょう。
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