東京医科大学茨城医療センター(茨城県阿見町)で、今年5月までの約1年間に診療報酬計1億1870万円の過大請求があり、前センター長の松岡健・同大理事が不正を指示していた疑いが強いことが、大学の内部調査で判明した。厚生労働省は立ち入り調査を行い、事実関係を調べている。
センターによると、昨年4月以降に届け出た3種類の加算制度で不正な算定があった。勤務医の負担を軽減するため、一定の医療事務補助員を置けば報酬が加算される制度では、松岡理事の指示で専従の事務補助員として7人を登録し、配置基準を満たしたように見せかけ、約1350万円を受給したという。実際は事務員の名義を借りただけで実態はなかった。松岡理事は7月24日付で「世間をお騒がせした」としてセンター長を辞職している。
センターは先月21日、「算定が不適切だった」として計1億1870万円の不正受給があったことを公表したが、松岡理事は毎日新聞の取材に「担当の理解不足が原因」と自身の関与を否定していた。小林正貴・センター長職務代理補佐は「おかしいとは感じていた。再発防止に努めたい」としている。センターは保険者に不正分の返還手続きをとる。【八田浩輔、橋口正】
毎日新聞 2009年8月13日 11時45分