2009年8月13日0時2分
米国など欧米諸国で、景気回復への期待が広がっている。米国では雇用者の減少幅がピーク時の3分の1となり、株価も大きく上昇している。
一方で景気回復の持続性に対する危惧(きぐ)は消えていない。企業は雇用や設備投資の拡大に引き続き慎重である。中央銀行による大規模な資金供給にもかかわらず銀行貸し出しが減少するなど、金融仲介機能の回復が遅れている。不良資産の処理も進まない。景気が再び低迷すれば、そこから新たな不良債権が生まれ、金融システムや経済をさらに不安定化するという悪循環が生じかねない。
それは、どこかで見た光景だ。いうまでもなく10年前の日本である。金融危機に伴う信用収縮によって景気は急激に悪化し、デフレが深刻化する中で、その後の景気回復は大幅に遅れた。それに対し、海外の政府やエコノミストたちは、日本政府、日銀、金融機関に対して、不良債権処理が手ぬるい、金融緩和が不十分だ、といった強い批判を浴びせ続けた。
だから、金融危機に直面した欧米諸国は、日本の失敗を繰り返さないはずだった。金融危機は迅速に収束し、不良債権も速やかに処理され、景気もすぐに回復すると、誰もが考えた。しかし現実には、彼らは日本の経験をそのままなぞっている。
それは、金融危機に対する本質的な理解が欠如していたからなのではないか。金融危機と経済危機は一体であり、複雑に絡んだ両者の相互関係を時間をかけて修復する必要がある、不良債権処理の遅れにはそれぞれの経済合理性がある、金融危機のトラウマは長く残る、といった日本の経験が示す金融危機の真実は、ほとんど学ばれなかったということである。(山人)
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「経済気象台」は、第一線で活躍している経済人、学者など社外筆者の執筆によるものです。