Stop and Search Record
左の書類は、エセックス州警察から私が受け取った「Stop and Search Record」です。どう日本語訳してよいのかわかりません。どういうときに受け取ることができるかを日本風にいえば、警官から職務質問を受けたときに、職務質問を受けた人物は、その警官から職務質問の記録書類を受け取ることができ、それがこの書類です。職務質問を受けた人物は、この記録書類を受け取る権利があります。
この記録書類を受け取る権利は、おそらく、2000年の(反)テロリズム法によるものです。私は正確にわかりませんが、日本でいう警官による職務質問は、イギリスではながく法的根拠があいまいだったのではと思います。警官による職務質問は、文字通りの国家による市民への権力行使であり、イギリスの政治風土では、かんたんに認められるものではありません。しかし、(反)テロリズム法によって、職務質問という権力行使がほぼ自由にできるようにするため、権力行使の証拠を市民が受け取る権利を明確にしたのだと思います。以上は、記録書類の裏面の記載からの、私の推測ですので、間違いがありましたら、ご一報ください。記録書類は、タテ15cmヨコ10.5cmのちいさなものです。
私がどうしてうけとったかは、つぎのとおりです。
すこし暖かくなったので、それこそ久しぶりに、Stansted空港にヒコーキ写真をとりに出かけました。Stansted空港は、ロンドン北の郊外にあり(エセックス州になります)、急成長した格安航空会社Ryanairがベースにしている空港です。ロンドンの3番目の空港といってよい(第1はヒースロー空港、現在の日本航空と全日空の便は、全部ココに到着。第2はガトウィック空港、全日空がロンドン路線をはじめた当初は、ココに到着だった。)。その北側の滑走路エンド近くで撮影中に、通りかかったパトカーの警官から「職務質問」を受け、これを受け取ったのです。
このとき、私は一人でした。子供が遊んでいる人家の隣でしたが・・・。、こういう書類があると耳にしたばかりだったので、私はあまり驚きませんでした。マニアが多数いるところでは、警官が巡回にきても(かなり頻繁にきます)、何かをいわれることはほとんどありません。いわれても、「不審な人物やものを見たら、すぐ知らせてくれ」というような内容です。このとき、私は珍しく一人だったので、職務質問を受けたのだと思います。
イギリスの民間ヒコーキ・マニアの数は、日本のそれに比較にならないほど多く、晴れの日には早朝から日没まで(そして、曇りや雨の日でもおそらく)、イギリスの空港周辺には民間ヒコーキマニアが多数あつまります。私がたまに出かけるとき、必ず先着のマニアがいます。もっとも、イギリス人のマニアと日本人のマニアは、嗜好に違いがあります。イギリス人は、機体の登録記号を単眼鏡などでたしかめ、それをメモするのが主流です。まったく写真をとらない人が半分くらいいます。残りの写真をとる人も、半分は、登録記号確認のための補助手段として、です。残りの半分が、写真そのものが目的です。日本人のマニアは、私を含めて、写真をとることが目的でない人は、ほとんどいません。
空港周辺で、機体の登録記号がみやすい場所と写真のとりやすい場所とがあります。しばしば、ターミナルビルの反対側です。2つの場所が一致している空港が多いですが、まったく分離している空港もあります。Stansted空港は典型的な後者の空港です。この空港で、マニア多数が集まるところは、一般道路と空港内の滑走路が近接した編み目フェンス沿いで、アクセスも容易で駐車スペースもあり、また木陰のある非常に快適なところです。皆さん、いすや食料持参で、のんびりと眺めている。ここは、機体の登録記号は編み目フェンスごしに非常に見やすいのですが、逆に、このフェンスがじゃまになり、写真はうまくとれません。写真を撮りやすいところは、別のところとなりますが、そこは写真マニアしかいかないといってよいと思います。写真を撮らないかぎり、登録記号を確実に確認できないからです。そういうわけで、私は珍しく一人で、写真の撮りやすいところにいたのです。
この記録書類を渡されたとき、警官から「次回、職務質問を受けたときは、この書類を見せるとよい。身分証明になる」といわれました。半分冗談かなと聞いていました。というのは、職務質問といいながら、それほどまじめなものでなく、質問は名前と住所を聞いただけであり、それを確認するわけでもないという程度のものだったからです。もっとも、クルマは、盗難車かどうか一応確かめたみたいです。私は、どこから見ても、ヒコーキ写真マニア以外にみえないはずでした。あとになって、イギリス人マニアに聞いてみると「私も同じことをいわれた。だから、私はいつももっている。ほれ、このとおり。」といわれました。でも、このマニアも、1年ほど前に一人でいるときに職務質問を受け、記録書類を渡されたが、その後1度も職務質問を受ける機会がない、とのことでした。
この日のヒコーキ「釣果」で、日本人マニアにとって、もっとも珍品なのは、右でしょう。
エア・ベルリン(ドイツの格安航空会社)が新購入したボーイング737-700です。ボーイング社の宣伝塗装をしています。昨年後半から、ボーイング社機を新規購入した顧客会社に、その会社の1機だけにこの同一宣伝塗装をボーイング社は依頼しています。そのため、同一宣伝塗装で航空会社名のみがことなる機体が、世界中で幾つか見られるようになりました。日本にも、全日空か日本航空で、すでにあるだろうと思います。