2009-07-27 00:35:09

自己を持つ能力 (復元記事)

テーマ:優良書籍

実例の前に、

自己を持って初めて「ヒト」である。自己が無ければ動物と同じである。鏡を見て不思議そうに裏側に回る。

自己が無いと言う事は、その状態のままである、ということである。


では、脳内で一体どういう能力によって、自己を獲得出来るのか。

それについて、科学的に解説したものが「自閉症とマインド・ブラインドネス」サイモン・バロン・コーエン(青土社)


その中の「SAM」の働きによるものである。

この「SAM」については、自閉症の根幹を為すものであるから、何度も繰り返して話しているつもりだが、

初めて聞いた人は、私の「都通研」の講演内容 を読んで欲しい。


私の記述の中で、最も詳しく、分かり易く書いているはずである。

とにかく、脳内で「SAM」の自動プログラムが生成されて、初めて人類から「ヒト」になるのである。


この「SAM」の自動プログラムは、誰もが持っていて、全く意識しなくても、完全自動で動くから、

誰ひとり、特別に「ある」か「ない」かを意識する事は無い。


人間、初めから持っているモノは無いのと一緒で、余程の知識と知能が無ければ理解出来ない。

逆に言うと、私達自閉症は、「SAM」に欠陥があるから、この本で説明されると、目から鱗が剥がれるように、

過去の出来事の謎が、ガラガラと音を立てて崩れ溶ける様に、はっきり理解出来るのである。


そして、この説明を聞けば、パソコンが如何に記憶力が良くても、22ヶ月の幼児の域に届いた程度の、

幼い科学であることが分かると思うし、自閉症の人たちは、知能が如何に高くても、脳の一部は、

18ヶ月の幼児と同じレベルであることが、理解出来ると思う。


2007/6/4(月)のブログ    復元記事

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2009-07-03 11:22:50

心の理論

テーマ:優良書籍

全回紹介した本は、「心の理論」 と呼ばれる物だ。

この本は、短大や大学でも教材として使われているようで、内容を理解していない子供程「こころのりろん」と

言う言葉を使いたがる。


ところが、この「心の理論」というのは、ロマンチックなモノでは無い。


原書の題名が「マインドブラインドネス」と命名している位で、「マインド」について語ったものである。

日本語で「こころ」というと「ハート」と間違うが、「ハート」では無い。「マインド」だ。


「マインド」を英和辞典で調べると、色々出てくる。これら全てを含んでの命名なんだろうけど、

中でも一つを選び出すとなると「気分」では無いだろうか。


「マインドブラインドネス」 =「自分の『気分』の状態を察知出来ないヒト」


「気分」を知ると言う事は、非常に大切な事だ。


私が、ある仕事をする。気が乗らない。やる気がしない。しかし、現実にはそんな事を無視して、仕事に邁進する。

ところが、ある日突然、会社に行けなくなる。仕事が出来なくなる。嫌で嫌でお客さんの電話に出られなくなる。


もし、自分の「気分」を事前に察知できていれば。 気分転換という、「定形発達」の人たちと同じ事が出来たなら、

事はここまで、もつれない。


しかし、私はそれが出来ない。 だから、いつも、もつれる。

抗鬱剤を飲む事によって、大分良くなった。さらに、自分の特性をしって、とにかくトラブルになりそうなものからは

なるべく近寄らないという知恵がついた。


こんな知恵がついたのは、ようやく50才になった頃からだ。


と言っても、今も原告浅見淳子 原告浅見昇吾と 名誉毀損による損害賠償事件を裁判で争っているから、

本質は変わらないけどね。


とにかく、素晴らしい本 であり、自閉症の理解には欠かせない本なんだけど、チョイ読みの人に誤解を与える本でもあるんだな。

読みこなすには、それ相応の知能と知性がいるんだ。

2009-06-30 07:52:04

生け贄になる訳

テーマ:優良書籍

須賀川の女の子にしても、須藤正和君にしても、生け贄になるには、訳がある。


「ヒト」であるなら、日常生活していて、「嫌悪」する対象からは、逃げ出す。或いは避ける。


これは、意識する事でなく、無意識で行う行動であり、上手く説明できなくても、この「忌避行動」

嫌なものから逃げ出す行動ができれば、事はここまで深刻な事態に至らない。


世の中のほとんどの「ヒト」は、皆無意識に、自分自身が感じる「イヤだ」という気持ちに素直に従う。


ところが、600人にひとりぐらい、自分自身の「イヤだ」という気持ちを感じ取れない人間がいる。


これが、「自閉症」である。


この、理論を肌で感じ、本当に理解できた人こそ、初めて自閉症を理解できる。

つまり、ほとんどの人は、自閉症の事理解してないんだ。特に日本の専門家と称する連中がそうだ。


自閉症の子供を持って不安な人が読む本が  エリーの本


自閉症の子供と現実にどう対応しようかと考える人が読む本が  内山ティーチ本


自閉症の事をもう少し、専門的に知りたいという人が読む本は  ウイングの自閉症スペクトル


自閉症の原理を今一番上手く解説している本が     自閉症とマインド・ブラインドネス


ただ、一度読んだ位じゃ理解出来る訳が無い。  2年3年と時間を掛け、自閉症児を観察しながら考える本だ。

2009-06-08 06:19:06

ティーチ(復元記事)後半

テーマ:優良書籍

ニキリンコの読者となんちゃってティーチは何故かいつも一緒なんだよな。



ここ で、現実に自閉症の子供を育てている親からの、貴重なコメントを貰った。


この本の11ページ、TEACCHプログラムの基本の中に、


「失礼を承知で言えば、読者各位の中には『ADHDもLDも高機能自閉症も軽度発達障害なのだから
 同じ方法で教育すればよいのではないか』と考える方がおられるかもしれない。
 どうしてTEACCHが自閉症だけを対象にするのか、本書を読み進めていただきながら
 ご理解願いたいと思う。」

と、ある。


私は、1999年頃から、掲示板や新聞の投書、自身のホームページ、ブログなどで、一貫して
自閉症とLD等のと「味噌糞一緒教育」に反対してきた。


私の主張と同様の自閉症関係者の意見を公式な形で見たのは、初めてで大変驚いた。

そもそも、この本は、自閉症の子供を持つ親や、自閉症に関係する教育者などが読む本なので、
本当に、つい先日まで読んだことが無かったんだよね。貰いもんなんだ。


これ、いい本だわ。    こめんね内山先生。  みんなは「買って」読んでね。

「本当のTEACCH」 内山登紀夫 学研 ヒューマンケアブックス

2009-06-07 10:05:00

ティーチ(復元記事)前半

テーマ:優良書籍

ブログをやっていると、滅多にないが、現場の「真実」が明かされる時がある。

消されたブログの中にあった、貴重な親の証言を再録する。


●NO TITLE
息子にはかかりつけ医が2人いるのですが、診断名が双方で違います。


片方はリハビリセンター付属の小児科医師で、診断名は「高機能自閉症」です。
診断基準はDSM-ⅠⅤ(米国精神医学会の診断基準)とICD-10(国際室秒分類)。
2つはほぼ同じ内容とあります。

もらった冊子には、IQ70以上で言葉の発達に遅れがあるものを「高機能自閉症」
ないものを「アスペルガー障害(アスペルガー症候群)」と呼ぶとあります。
テストは発達指数(DQ)を調べるもので、83でした。


もう片方は国立の精神病院の医師で、診断名は「広汎性発達障害の疑い」です。
診断基準はどれとは言われませんでした。
対人関係の障害が認められるものが「広汎性発達障害」。
知能に遅れがあれば「自閉症」、なければ「アスペルガー症候群」ということのようです。
テストは知能指数(IQ)を調べるもので、44でした。

診断書を書いてもらうと、知的障害の欄は「軽度」です。
「疑い」については、「成長著しい時期なので知能指数が正確でない」ことと、
「言葉を話す子は何をもって社会性の障害とするかが難しい」
「もう少し話せるようにならないと正確な診断は付けられない」と説明されています。

正直なところ、初めは「一体何なんだ!?」と思いましたよ。
学派の影響もあるでしょうが。

最近になって、早期療育の影響もあるだろうと考えるようになりました。
実際は就学前に正確な診断は付けられないのだけど、療育や支援を受けるのに
診断名が必要で、どうにか付けなくてはいけない。
誤診は避けたいので本当は付けたくないが、どうしてもと言われるなら・・・で、
医者独自の補足が増えていくのだろうと。


>単純に「自閉症(カナー型)」と「アスペルガー症候群(障害)」に分ければいいのである。


難しいでしょうね。
療育は早い地域は1歳代から始まりますが、1、2歳の子が「カナー」か「アスペルガー」か
見分けるのは。
だから「自閉傾向」や「疑い」という言葉ができるのだろうと思います。

個人的に考えているのは、国が基準を決めて、就学後に一斉検査でもされれば、
診断名は統一されるし、データが明確に残って後に活かされていくだろうに・・・
というようなことです。
親によってはすごいクレームが出そうですけどね(笑;
[ 2009-05-04 ]


●Re: NO TITLE
> 療育は早い地域は1歳代から始まりますが、1、2歳の子が「カナー」か「アスペルガー」か
> 見分けるのは。
> だから「自閉傾向」や「疑い」という言葉ができるのだろうと思います。


現在ここまで事が進んでいるとは知らなかった。
何故なら、認知心理学の点から言うと、18~22ヶ月頃に「自己」を獲得するだろうと 言われている。

その時期を経て、初めて発達障害がある「可能性」が見いだされる。

とすれば、当然1、2才でカナーかアスペルガーか等と言うこと自体が論外だし、
1歳代から始まる「療育」(この場合の療育の定義が不明だが)はすでにその時点でカルトだ。


私が言うのは、かつての私のブログに書き込める年齢でありながら、尚、「自閉傾向」だの
「自閉疑い」にしがみついている事に問題があると言っているのである。

親の心理的プレッシャーが無ければ、小学校入学までならば、特別診断名も、 特別扱いも必要ないと考える。

ただ、道路に飛び出すとか、木から落ちるとか、屋根に登るとか、池に落っこちると言う事には 「特別に」気を付けてね。
[ 2009-05-04 ] [ Chip ]


●NO TITLE
うちの息子も1歳代で療育を受けるところでした。
1歳半検診でひっかかり、その後、保健センターから電話がかかってきて説得。 1歳9ヶ月で発達検査を受けました。

言語理解と表出が著しく遅れているということで、療育をすすめられそうになったのですが、
私の方が「失礼な!」と蹴って帰りました。

結局、月1回保健センターの母子教室には通うことになりましたが。
療育の内容は、母子通園で決められた時間に決められたことをする練習です。
名前を呼ばれたら返事をして前に出て出席表にシールを貼る、お遊戯をする、
イスに座っておやつを食べる、などです。


結局その後、2歳手前で周囲がうるさくなり、「おまえの言葉かけが少ないから話さない」
と家族にも言われ、段々気が滅入ってきて、「自分がおかしいのだ」と思って受診したのが、
後者に挙げた精神科で、診察をしたのが今現在『主治医』と呼んでいる医師です。
主治医には療育について「この子の場合、4歳からで充分ですよ」と言われましたが、
保健センターの例があったので、なかなか納得できず、2歳代の頃は自己流で良いと
言われることを何でもやってましたね。


それでも不安で途中からでも療育に入れてもらおうとして定員がいっぱいで、
自閉症協会など方々電話をかけまくったり、保育園に入れようとしたりしていました。
「早期に療育を始めれば症状が軽減する」という情報をうのみにしていましたから。
息子が言葉を獲得したのも家庭療育のおかげと思っていましたしね。

今振り返れば、きっかけを与えたに過ぎず、「元々話す能力を持っていたのだ」と考える
方が妥当、とわかりますが。


「療育には明確な科学的根拠がない」と知った時は愕然としましたし、療育を受けて
大きくなった子供が2次障害を起こしている話を聞き、「なんだ、私と同じじゃないか」
と思いました。

ノースカロライナで地域ぐるみで行われているティーチプログラムが成果を挙げており、
成人が2次障害をほとんど起こさず社会生活を送っているという情報を目にして以来、
ティーチについてはいくらか取り入れていますが。
これも絵カードを使ってなどという、小手先のことではどうにもならない印象です。
親と医者がコーディネーターになって、地域社会ぐるみで環境を整えてこそ効果を 発揮するものという印象です。
「日本向きでない」と言われる理由ですね。


療育神話とも呼べる、早期療育を推進する動きは加速しています。
最近では、親の掲示板に、1歳未満の赤ちゃんを持つ親によって「自閉症でないか心配」 と頻繁に書き込みがあります。

「生後10ヶ月の子に療育を受けさせたい」というような話もあります。
「早期療育は良いもの」と信じて、「良いなら先回りしてやっておけば安心」ということ なのです。

私は障害児用でない育児関係の本もたまに読むのですが、今は早期療育ならぬ、 「早期教育」も盛んですね。
0歳代からドッツカードやフラッシュカードを見せるような教育です。
そのせいか、2歳にしてカードを見せると顔をそむける子が出てきているらしいですよ。
なんにせよ、おかしいと思います。


>私が言うのは、かつての私のブログに書き込める年齢でありながら、尚、 「自閉傾向」だの「自閉疑い」にしがみついている事に問題があると言っているのである。


まあ、そうですね。
「しがみついている」がどういった状態を言うのかわかりませんが。
「自己診断であれば病院に行った方がいい」というのは、治療の意味でその通りです。
問題点と向き合うのに、「自閉傾向」「自閉疑い」などの視点が必要だと医者が言った
ということであれば、それは確定でなくても治療上有益ではないかと思いますし。


個人的には、自己診断で「自分は何も困ってないけどアスペです」と言うのも、
「自閉症者の気持ちを代弁しよう」とか、「自閉症児の親にアドバイスしよう」とか、
「書籍を出そう」とか利益目的でなければ、良いのではないかなと思います。
商売や顔売りに使われるのは、親としても当事者としても絶対に御免ですけどね。
[ 2009-05-04 ]

2009-06-02 06:51:13

とにかく育てなきゃ(復元記事)

テーマ:優良書籍

なんか子供が変かな?そう思っていたら、病院へ行くのを勧められ、自閉症の診断を受けた。


確かに、ショックはあるだろう。どうして善いか分からないかもしれない。
しかし、日々子供は育つ。


我が家のすぐ近くの家では、ネットの情報など漁らず、特別本を探し歩くこともせず、
ひたすら他の姉弟と分け隔てなく育てるだけで、伸び伸び育った自閉症の女の子も居る。


情報が有るから善いと言うことは無く、情報が有りすぎると言う場合もある。


多分、子育てには「正解」など無いのだろう。子育てもあなたの人生の一部なのだ。
子育てが全てでは無い。


しかし、不安に震える母親には、この本を先ず勧める。
この本は、あくまで子育ての途中経過であり、成功体験の報告ではない。


子育てが成功したかどうか。それはその子供が寿命を全うしたときに、ようやく分かるかもしれない
答えのない事だと私は思う。


自閉症児エリーの記録 クララ・パーク 松岡淑子訳 河出書房新社

2009-05-20 19:48:11

親と専門家のための本

テーマ:優良書籍

子どもが「自閉症」「アスペルガー症候群」と診断を受けた。先ずここを読んで 欲しい。


インターネットにはほとんど役に立つ情報なんか無いと言っても、不安で調べる。
何かいい本は無いか。そこまで考えるなら、この本を読んで欲しい。


改めて表題を読むと「親と専門家のためのガイドブック」と書いてある。


確かに、この本の内容は濃い。何度読んでも、何年経っても、また新しい発見がある。
ローナ・ウイングが書いている言葉の真の意味が分かるのは、結構時間が掛かるんだ。


だからと言って、小難しい本じゃない。丁寧に親切に書いてある。

自閉症そのものが難しいから、分かったつもりでも、後で勘違いと分かったりする。

とにかく素晴らしい本だ。
その本の中にこんな一文があったので、書き出してみる。
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もちろん親は、害になる可能性が無く、倫理的に許容できるものであれば、どのような治療法でも
試す権利があります。

しかし、親は、自分たちの罪悪感や絶望、そして、わらをもつかみたいという望みに
つけこむ人たちに気をつけなければいけません。

(英国の)全国自閉症協会は冊子を発行して、現在利用できる種々の「治療法」に関する
客観的情報を提供していますが、これらの治療法をどれも擁護はしていません。


p282 「自閉症スペクトル」親と専門家のためのガイドブック より抜粋 東京書籍


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イ○○を使ったり、あちこちの理事と兼務し内部に色々な人が入り込んでいる
どこかの自閉症協会とは、驚くべき違い、モラルの高さを感じます。


この文章を読んで日本自閉症協会の会員達はどの様に感じるでしょうか。  これが現実なんです。

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