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民主公約修正:にじむ「迎合路線」…説明会での指摘を反映

 民主党が衆院選マニフェストで米国との自由貿易協定(FTA)を巡る表現など5項目を修正・補強した背景には、農業関連団体など関係団体からの猛抗議を受けた対応に加え、3日から11日まで行われた説明会での指摘を取り入れようとの姿勢があった。直嶋正行政調会長は記者会見で「政策が変わったわけではない。修正には当たらない」と釈明したが、度重なる軌道修正は票目当ての「迎合路線」の感が色濃くにじむ。

 「さまざまな意見をいただきながら、多少の手直しをしていく。メディアは『ぶれた』と言うが、分かりやすくするための努力だ」

 岡田克也幹事長は11日、水戸市で開いた最終回のマニフェスト説明会のあいさつで強調した。「有権者の意見を聞いて『進化』させるのは当初方針通り」(政調幹部)との論理で「ぶれた」印象を少しでも払しょくしたい思惑がうかがえた。

 説明会では、修正で焦点となったFTAの記述をめぐる質問が続出。この日も会場からの最初の質問は「『農家の方たちがアメリカからの輸入規制を緩和されたら困ると(言っている)』と子どもから電話があった」というもの。批判が噴出したことを受け、菅直人代表代行が7日に「交渉を促進する」と表現を後退させると発表して以降も、不信感はぬぐい去れていない。

 このほか、「国と地方の協議の場を設置」は大阪府の橋下徹知事ら、成長戦略は自民党や経済界から、それぞれ批判を受けての追加。不妊治療への保険適用も「子ども手当」創設の恩恵にあずかれない不妊治療者からの抗議が相次いだことが理由だが、有権者がこうした修正を前向きに評価するかは不透明だ。

 逆に、この間の修正を巡り党内には波風が立った。直嶋氏は先月31日の時点では「加えるのは地域主権だけ」と言い切り、FTAの修正などは否定していた。小沢一郎代表代行もマニフェストの修正には不快感を示した。

 しかし、外部の意見に押されて当初予定を大きく上回る5項目に及んだ修正。「選挙前に細かい政策分野で有権者とぶつかる必要はまったくない」(政調幹部)との判断だが、修正は一部の幹部の意向で行われ、党内議論は生煮えだ。直嶋氏は会見で「一度出して有権者から聞いて最終版になるという国もあるようだ」と理解を求めながらも、一方で「個人的に大きな変化は好ましくない」と不本意さもにじませた。【西田進一郎、小山由宇】

毎日新聞 2009年8月12日 1時06分

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