2009年8月13日 2時30分
埼玉県狭山市で起きた殺人未遂事件を審理する全国2例目の裁判員裁判で、さいたま地裁(田村真裁判長)は12日、殺人未遂罪に問われた同県吉見町の解体工、三宅茂之被告(35)に懲役4年6月(求刑・同6年)の実刑判決を言い渡したが、被告、被害者ともに控訴しない方針で、判決は確定する見込み。
判決は、三宅被告が5月4日午後9時ごろ狭山市で知人男性(35)の胸や頭を包丁で刺すなどし、約1カ月のけがをさせた行為を「強い殺意に基づく執拗(しつよう)で極めて危険な犯行」と認定。被害者に金を借りていた三宅被告が、借金残高が本来よりはるかに多い「1000万円」と聞いて激怒した動機については「一定の理解はできるが、短絡的にすぎ酌量すべき点はない」と言及した。
判決後、担当した間川清弁護士らが三宅被告と接見。三宅被告は「懲役刑はやむを得ないと思っていた。裁判員には十分話を聞いてもらえた。追い詰められていた自分の立場を理解してくれたからこそ、こういう判決になったのだろう」と話したという。間川弁護士は「検察と弁護側で争いがあった『事件までの経緯』をどう事実認定したのか、説明してほしかった。弁護人としての負担はすごくあった」と話した。
被害者の男性は「求刑は軽いと思ったが、すべてを考慮したうえでの判断なので理解はしている。判決の『(被害者に)落ち度があるとまで言えない』の一言に救われた」と話した。【小泉大士、飼手勇介】