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海老蔵が石川五右衛門として新橋演舞場に参上

演劇 2009年8月10日16時42分配信

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海老蔵丈(楼門)

海老蔵丈(楼門)

  • 海老蔵丈(楼門)
  • 團十郎丈(右)海老蔵丈(左)
  • 海老蔵丈(鯱つかみ)
  • 海老蔵丈(大屋根)

市川海老蔵主演による新作歌舞伎「石川五右衛門」が8月8日、東京・新橋演舞場で幕を開けた。原案のストーリー作りを担ったのは、『金田一少年の事件簿』や『神の雫』など、数多くのヒット作を輩出している漫画原作者の樹林伸。

石川五右衛門と言えば、稀代の大泥棒にして、これまでさまざまなジャンルで作品化されてきた愛すべきキャラクター。その五右衛門が、当代きっての人気歌舞伎俳優とヒットメイカーによって、さらに魅力あふれる人物として新たな息吹を与えられ、新作歌舞伎ならではの荒削りな部分が、五右衛門というキャラクターと相まって、不思議な魅力をもった作品へと昇華している。

関白太政大臣・豊臣秀吉が天下を治める時代。それを面白く思わない盗賊・石川五右衛門は、秀吉の肝を潰そうと聚楽第(=秀吉が京都に造営した邸宅)へと忍び込む。しかし盗賊とは言え、五右衛門はまだまだコソ泥。案の定捕えられ、釜茹でにされそうになるが、すんでのところで逃げ出すことに成功する。その後、五右衛門は伊賀で忍術を会得。再び秀吉の元へと向かうと、そこで秀吉の側室・茶々と出会い、恋に落ちる…。

海老蔵の五右衛門は、時に荒々しく、時にユーモラスに、舞台上を縦横無尽に動き回る。それはまるで、歌舞伎俳優・市川海老蔵自身のよう。海老蔵はこう語る。「五右衛門の生涯に終着点はなく、終わりのない男だと感じております」。これこそ、今の海老蔵にも通じる男の姿とは言えないか。

茶々を演じたのは、若手女形ではナンバーワンとの呼び声も高い中村七之助。二幕目には、切なさと恋心の芽生えという、茶々の心情を見事に表わした舞を披露する。桜をバックに踊る姿は、息をのむほど美しい。作品のキーを握る秀吉役には、海老蔵の父である市川團十郎。さすがと言える存在感で、彼が登場するだけで場がキリリと引き締まる。また五右衛門との場面は、その裏に秘められたある真実があるゆえ、非常に緊張感があった。ほかに片岡市蔵や市川猿弥、市川右近らが出演している。

歌舞伎ならではの伝統芸を継承しつつも、数々のチャレンジが見られる本作。中でも、照明やスピードの緩急により視覚的な面白さを出した立ち回りや、壮大な「南禅寺山門の場」、ラストのダイナミックな宙乗りは圧巻。市川團十郎家は、五右衛門と縁が深いと言う。その市川家の若き跡取り、海老蔵が生み出した新しき五右衛門。これは間違いなく、彼の十八番となっていくはずだ。

公演は8月27日(木)まで、東京・新橋演舞場にて。チケットは現在発売中。

(取材・文:野上瑠美子)

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