歌舞伎座(東京・銀座)で恒例となった公演「八月納涼大歌舞伎」=写真は出演者=が今年も行われている。1990年にスタートし、これで20回目。歌舞伎座の今の建物では最後となる。【小玉祥子】
第1回公演から中心的な役割を果たしてきたのは、中村勘三郎と坂東三津五郎。「古典から新作まで挑戦させてくれたことを感謝します」と勘三郎。三津五郎は「20年はあっという間。途中から3部制を取るようになり、短時間・低料金で新しいお客様を開拓した功績もあったかなと思います」と話す。
1部(午前11時)は「天保遊〓(ゆうきょう)録」「六歌仙」▽2部(午後3時)は「真景累(かさね)ケ淵(ふち)・豊志賀の死」「船弁慶」▽3部(同6時)は「お国と五平」「怪談乳房榎(ちぶさのえのき)」。
「六歌仙」では三津五郎が遍照、文屋、業平、喜撰、黒主の5役を踊る。歌舞伎座では初めての取り組み。
「船弁慶」では勘三郎が16年ぶりに静御前と平知盛の霊を踊り、静御前の方は二つの衣装を交互に着る。勘三郎襲名の際に坂東玉三郎から贈られたものと、1929年に英国王子グロスター公が来日して「船弁慶」を見た時、祖父の六代目尾上菊五郎が着たものだ。
また「豊志賀の死」と「怪談乳房榎」は、第1回に上演された納涼公演ゆかりの演目である。
27日まで。問い合わせは03・5565・6000へ。
毎日新聞 2009年8月12日 東京夕刊