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記憶風化させない・・・日航機事故24年

藤岡JCも初参加

空の安全を祈り、シャボン玉を空に飛ばす遺族ら(11日夜、上野村役場前で)

 「今年も逢(あ)いに来られました。でも、愛するあなたがいない。辛(つら)いです」――。遺族が最愛の人への思いを書き込んだ灯籠(とうろう)が、今年も8月11日夜に上野村の神流川に流された。御巣鷹の尾根に日航ジャンボ機が墜落した事故から12日で24年。今回の灯籠流しには、藤岡青年会議所の会員が「地元に生きる者として、記憶を風化させない」と初参加した。

 神田和生理事長(32)は、参加に踏み切った理由を「遺族やボランティアの高齢化が進んでいる」と、真剣な表情で話した。

 会員のほとんどは、事故当時は小学校低学年。藤岡市内の小中学校が遺体の安置所や遺族の待機所となった様子をあまり知らない。夏休み中だったうえ、プールが使用禁止になるなど、児童が学校に近付かないような措置があったからだ。

 その校舎の中では、地元婦人会の主婦らが、不安と絶望の中で遺体発見を待つ遺族の気持ちが少しでも和らぐよう、工夫を重ねていた。冷房がなく、蒸し暑かった。遺族に冷たい茶やおしぼりを手渡し、教室に氷柱を立てたりした。当時の主婦らでつくる「ふじおか・おすたかふれあいの会」の坂上シゲヨ会長(77)は、「言葉では表せないほど悲惨で、かける言葉が見つからなかった」と振り返る。

 それでも、遺族の「8・12連絡会」の美谷島邦子事務局長(62)は「心にそっと寄り添ってくれたことが、どんなに力になったことか」と語る。灯籠作りなどを通して、今も交流を続ける両会。しかし、ふれあいの会の会員は高齢化で年々減る。

 「愛する人を失うつらさ、支える人の思いを語り継ぐことが、命の大切さを伝えることになる」。神田会長は、優しく光る灯籠を見つめながら力強く話した。

2009年8月12日  読売新聞)
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