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広がるネット署名 本人確認困難でも、「数」に力(2/2ページ)

2009年7月31日17時0分

写真:「署名TV」のホームページ画面「署名TV」のホームページ画面

 この署名を印字して市の課長や観光協会長らがNHKに持ち込もうとしたのは今年5月。ところが、NHK側に「膨大な個人情報をもらっても扱いに困る」と言われたため、署名数を伝えるだけに。さらに「(署名の)数は重視しない」とも言われたが、「地元の盛り上がりをアピールするにはこれしかない」として、同市は20万件を目指してネット署名を続けている。

 手法を違えてはいるが、ネット署名は、刑事被告人の減刑を求める嘆願書に添える署名にも使われている。詐欺罪で有罪判決が確定した音楽プロデューサーの小室哲哉さんの裁判だ。弁護人によると、証拠採用されたファンらからの「減刑を求める嘆願書」の署名や手紙は約6千人分。その約3分の1はネットを通じて集められたものだったという。

 名古屋の闇サイト殺人事件は逆に、被告の厳刑を求める署名だった。被害女性の母親が街頭とネットを通じて集めた「被告に極刑を求める署名」は地裁判決までに約32万件にもなった。こちらは証拠採用されなかったが、検察側は法廷で「署名数の多さ」を繰り返した。弁護人によると、32万件のうち街頭署名分は約1万4千件だった。

 いずれのケースもネットは使われたが、楽天の手法とは違った。楽天の署名のように電子データをそのまま送信せずに、パソコンからいったん署名用紙をダウンロードして印字。そこに自筆で署名して郵送する手法をとっていた。

 ある裁判官は「そもそも(被告人の身柄引受人や被害者ら事件に直接かかわる人以外の)第三者からの嘆願書は証拠採用されにくい。本人確認のしようがないネット署名はなおさらだ。裁判員裁判でも、量刑上の意味はほとんどないだろう」とみる。別の裁判官は裁判員への影響を考える。「膨大な数になった時、影響があるかどうかはわからない」

 一方で、自署が原則である国会への請願や首長の解職などを求めて住民が行う地方自治法の直接請求の署名となると、ネット署名は通用しない。直接請求には押印も必要だし、選挙人名簿によるチェックもある。それでも衆参両院の請願課は「制度変更などは考えていないが、『ネット署名でもいいか』という問い合わせはあり、(広がりを)注視している」と話す。(三島あずさ、岩田清隆)

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