2009年8月9日
シカゴへ日帰り遠征して、リグリーフィールドで試合を行ってきました。
カブスのマイナー組織にいる若い選手たちにとっては、憧れてやまない聖地です。
いえ、選手に限らずアイオワカブスの職員たちにとっても、それは同じこと。
レギュラーシーズン中の、ごく普通の試合だというのに、
選手集合写真は撮るわ、職員さんがバッティングケージで
ポーズを決めるわ、試合前からお祭り騒ぎ。
気持ちがわかるだけに・・・・僕は笑ってその様子を見ていました。
おまけに、バッティング練習からして、何かが違う。
全員が、ホームランを狙っているのです。
「憧れのリグリーで何かやってやる!」という熱気が漂って、
日本で始まった高校野球を思い起こさせました。
過去当たり前のようにリグリーを訪れていた僕は、
今年、ここを本拠地としてプレーするチャンスには恵まれていませんが、何度来ても、やっぱり素晴らしい球場であることに変わりありません。
「若い選手たちに思い出を作ってやりたいから、もうここを知っているソウは別に出なくてもいいだろ」と言われていたものだから、てっきりベンチと思いきや、何でか先頭バッターで出場。しかも、3タコ。
これが最後のリグリーになっては困るので、必ずや戻ってこなくては。
アイオワ州デモインにて 田口壮 
2009年8月8日
「自力でベンチ入りしてもらいましょう」などと先日書いておきながら、チームにお願いして、寛をベンチ入りさせてしまいました。親馬鹿な私。
田口寛、5歳。マイナーとはいえ、プロの試合デビューです。
昼過ぎに僕と一緒に球場入りして、同じように練習メニューをこなし、クラブハウスで食事をして、試合中はベンチに座る。
普段、一瞬たりともじっとしていない彼に、そんなことが果たしてできるんやろうか?
試合中にフィールドに飛び出したり、おしゃべりして、ベンチに迷惑をかけないやろうか?
しかし、「おかしなことをしたら二度と連れてこない」という脅しが効いたのか、遊びではない緊張感が漂う雰囲気に圧倒されたのか、とりあえずはすべて杞憂に終わりました。
まわりの選手に遊んでもらいながら、バッティング練習をケージでこなし、フライを捕る練習をして、室内でも打つ。
無駄口はきかない。質問された時だけ答える。
ベンチでは、「ここにいなさい」という場所から決して動かない。
何でいつもはそれができない?と心の中で突っ込む僕。
ひまわりの種を飛ばし、ガムを噛み、ジュースを飲んだ紙コップを足で踏み潰すその姿は、態度だけなら堂々の野球選手です。
試合後、勝利のハイタッチにもしっかり登場し、ベンチの方向に戻ってくる選手たちと手を合わせる姿に、
僕はなんだかじーんとしてしまいました。
試合中、バッターボックスを外してふとベンチ方向を見ると、自分の子供がこちらをじっと見ている、という瞬間がやってくるなど、
今まで想像すらしたことがありません。ベンチの正面からビデオを撮っていたヨメは、バッターボックスに立っている夫と、それを後方のベンチから見つめる子供を同時に画面におさめ、僕同様、「じーん」に包まれていたようです。
帰り道。手をつないであれこれ試合の話をしている寛が、急にしっかりと、お兄ちゃんになったような気がした夜。
「言葉で100教えるより、たったひとつの貴重な体験のほうが、得るものは多いんでしょうね」と、ヨメがしみじみつぶやきました。まさに「親父の背中を見せた」1日。僕はあといくつ、寛にこんな体験をさせてやれるでしょうか。
「パパ、うてなかったねー」と言われてしまったのは、この際ご愛嬌です。
アイオワ州デモインにて 田口壮 
2009年8月7日
連戦です。オールスター休み以来、シーズン終了まで1日しか休みがありません。
来週、13日の休日まで、28連戦。その後、25連戦。
移動のきつさで知られるパシフィック・コースト・リーグは、スケジュールのきつさでも知られるべきです。なので、ここでお知らせします。
確かに、精神的な磨り減り方では、メジャーにかなうものはありません。
でも、メジャーには定期的な休みもあるし、移動もラクラクです。
ミールマネーという、遠征先での食事代も支給され、それを遣わずとも十分なほどのご飯が、クラブハウスに用意されています。
一方3Aのミールマネーは微々たるもの。加えて、クラブハウスの食事は悲惨。
食事、移動、スケジュールが三重苦となって、しんどさを2倍、3倍に膨れ上がらせます。
同じ時間を過ごしているというのに、
昇格できぬまま過ぎていく日々は矢のように速く、
連戦を消化する日々は遅く、僕をいらだたせます。
負けてたまるか。
アイオワ州デモインにて 田口壮 
田口選手宛のファンレターはこちらまで letter@taguchiso.com
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