ここから本文エリア

現在位置:高校野球>総合ニュース> 記事

総合ニュース

読めない天候、難しい運営 史上初の2日連続ノーゲーム

2009年08月11日

 10日は夏の甲子園1回戦4試合が予定されていたが、第1試合の如水館(広島)―高知は5回表1死、前日に続き、降雨のためノーゲームになった。同一カードの2試合連続ノーゲームは大会史上初。2日連続の全試合順延は34年ぶり。

写真ノーゲームになり、グラウンドを引き揚げる如水館の選手たち=筋野健太撮影
写真ノーゲームになり、グラウンドに一礼して引き揚げる高知の選手たち=金子淳撮影

 如水館、高知の選手は2度目の仕切り直しに戸惑いつつも、前を向いた。再び初戦がお預けとなった6校の選手は、はやる気持ちを抑えながら室内で練習した。

 2日連続の順延。日本高校野球連盟の小森年展事務局長は「運営は苦しいが、それ以上にチーム、選手の健康が大事。いい状態で戦えるよう万全を期したい」と話した。

 大会本部が午前5時に確認した時点で、グラウンド状態は良好。その後の甲子園周辺の天候予測も「小雨程度」だった。そのため、曇天の下、内野の照明を点灯し、予定通り午前8時30分にプレーボール。ところが、間もなく小雨が降り出し、3回ごろから強くなった。天候予測も午前11時ごろから雨脚が強まるとの情報に変わったため、ノーゲームと全試合の順延を決めた。「刻一刻と天候が変わり、大会運営の難しさを感じている」と小森事務局長。

 この大会では採用していないが、公認野球規則には後日、中断時点から試合を再開する「サスペンデッドゲーム」(一時停止試合)というルールもある。それでも、原則的に、天候を理由に適用されるには、正式試合として成立していることが前提になる(野球規則4・10、4・12)。

 如水館―高知は11日の第4試合に組み込まれた。大会本部は選手の体調を考え、3日連続の早朝試合から夕刻へと変更する措置をとった。

■一番重視するのは投球

 史上初の2日連続のノーゲームについて、赤井淳二・審判副委員長は「甲子園は(グラウンドを管理する)阪神園芸の伝統と努力もあり、日本一の水はけ。それでも前日の雨の影響で水が浮くのが早かった。選手には、いいコンディションで試合をしてもらいたい」と残念がった。

 試合開始後の中止は大会本部と審判団の協議で決まる。決断の際はグラウンド状態より、プレーへの影響が優先される。「一番重視するのは投球。滑り止めをつけても球が滑り、本来の投球ができない場合は試合を止める。ある程度のぬかるみは、申し訳ないが耐えてほしい」。たとえグラウンドが水浸しでも、小雨なら試合を続行する場合もあるという。10日は5回表、高知の攻撃中に中断に入ったが、「この回は四球が二つあった。しかも、ボール球が続くなど、四球自体の内容も悪かった」ことで、雨の影響がひどいと判断された。

 今年は地方大会から天候不順が続いた。今後も悪天候に見舞われる可能性はある。雨中の試合で、選手が心にとめておくべきことは何か。「決して焦らないこと。悪いときほど、慎重にプレーするのは選手も審判も同じです」。天気の移り変わりに負けない平常心が、勝利に近づく第一歩だ。(山下弘展)


ここから広告です
広告終わり

このページのトップに戻る