全米地理協会が世界に住む人々からDNAサンプルを集めて大昔の人類の移住ルートを探る研究に取り組んでいる。研究リーダーを務める同協会のスペンサー・ウエルズ博士は日本経済新聞記者と会い、近く研究結果を公表する考えを明らかにした。(日本経済新聞2009年8月10日)
この記事によると、全米地理協会は「アフリカで生まれた人類がどんなルートで世界に広がったかを明らかにする」そうです。先住民族や一般人にDNAサンプルを集め、その数は約35万人分です。人類がアフリカを出た頃(5万年前)の初期のルートがわかってきていて、サンプル収集は来年中にほぼ終え、2~3年以内に研究成果を報告するそうです。スペンサー・ウエルズ博士はY染色体を利用した研究をしていて、昨年『旅する遺伝子』という本を出版しています。
これは「ジェノグラフィックプロジェクト」という計画で、プロジェクトに参加し、キットを購入して自分の頬の内側の粘膜を採取して協会に送ると、DNAの分析結果がデータベースに登録されると同時に自分のルーツがわかるという仕組みになっています。
現在の人類の起源はアフリカにあり、女性に引き継がれていくミトコンドリアのDNAを辿るとアフリカの一女性に行き着くという考え方があります。この女性はミトコンドリア・イブと呼ばれています。これは一般的には「全人類の母であるたった一人の女性」と認識されていますが、この女性のミトコンドリアDNAがたまたま残っただけなのだそうです。子どもが男だけ、もしくはいない、孫を生む前に亡くなった、などと女の子が生まれない可能性もあります。また同じようにY染色体アダムというものも存在します。少々うさんくさいですが。
自分のルーツを探る、ということは私は好きです。自分の両親や先祖が何県生まれなのだろうか、何をしていた人なのだろうか、ということに興味がありました。このプロジェクトは人類規模の移動経路を図で示すもので、規模は異なりますが基本は同じようなものだと思います。しかし規模が大きいだけにルーツがわかっても、それだけで止まってしまうような気がします。ルーツを調べるにはホームページからIDを入力する必要があり、結果は世界地図に描かれた線の形で示されます。これを見ても個人レベルでは「へー」とか、「やっぱりこの顔かたちは南方系であったか・・」などと想像するくらいだと思うのです。このプロジェクトはアメリカの人が発案したものなので、世界中から民族が集まっているアメリカ人ならば自分のルーツがわかる、というのは非常に興味深いのかもしれません。
現在はまだサンプルを集めている途中なのでこれから人類の移動経路が詳しくわかっていくでしょう。サンプルを集めることだけを考えても、今はインターネットがあるからこそ格段に集めやすくなっていると思います。プロジェクトへの参加の呼びかけだって全世界に発信できますし、参加申し込みも簡単です。インターネットがなかったらもっと調査に時間がかかっていたのではないでしょうか。
全米地理学協会(The National Geographic Society)http://www.nationalgeographic.com/
The Genographic Project https://genographic.nationalgeographic.com/genographic/index.html
ナショナルジオグラフィックニュースhttp://nng.nikkeibp.co.jp/nng/topics/n20050413_1.shtml
日本人はるかな旅展http://www.kahaku.go.jp/special/past/japanese/ipix/index.html
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