日本経済の景気回復がささやかれる中、2004年6月9日に2004年1〜3月期のGDP伸び率が前期比+1.5%、年率換算で+6.1%(2次速報)と発表されました。
その国全体の経済活動を総合的に表す言わば「経済統計の王様」とも言えるGDPとはどういうものなのでしょうか? |
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■GDPとGNPの違い |
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GDP(Gross Domestic Product)="国内"総生産
GNP(Gross National Product)="国民"総生産
GDPは国内で新たに生産されたモノやサービスの付加価値の合計額のことをいいます。
Domestic(国内の)ですから、日本企業が海外で生産したモノやサービスは含みません。
あくまで日本国内の生産活動を数字として表し、景気を測るものさしです。
一方GNPは"国民"総生産ですから、国内に限らず海外の日本企業の生産額も含みます。
以前は日本の景気を測る指標として、主としてGNPが用いられていましたが、現在は国内の景気をより正確に反映する指標としてGDPが重視されています。 |
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■GDPの中味 |
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GDPは、新たに生み出されたモノやサービスの付加価値の合計額ですから、商品の場合、その原材料費はGDPの計算には含まれません。
例えば、2万円の羊毛布団があるとすれば、その原材料がいくらであろうと、最終的にできた羊毛布団2万円がGDPとして計上されます。
なお、GDPは、国連が定めた一定のマニュアルであるSNA(System of National
Account)に従い、各種の既存統計を加工することにより推計されていますので、同一レベルでの国際比較が可能です。
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■経済成長率とは? |
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GDPの伸び率を経済成長率と呼びます。
GDPが前年比や前四半期でどの程度、増えたか減ったかをパーセントで表します。
去年のGDPが500兆円で、今年のGDPが550兆円であれば、経済成長率はプラス10%です。逆に今年が450兆円でしたらマイナス10%です。
高度成長期の経済成長率は毎年10%を超えましたが、バブル期の6%台を最後に、良くても数%、悪ければマイナス成長になっています。
現在、経済成長率が高い国は中国です。
日本と中国の実質GDP推移
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1986年 |
1987年 |
1988年 |
1989年 |
1990年 |
1991年 |
1992年 |
1993年 |
1994年 |
日本 |
2.8 |
5.0 |
6.7 |
4.3 |
6.0 |
2.2 |
1.1 |
▲1.0 |
2.3 |
中国 |
7.8 |
9.4 |
11.2 |
3.9 |
5.0 |
7.0 |
12.8 |
13.4 |
11.8 |
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1995年 |
1996年 |
1997年 |
1998年 |
1999年 |
2000年 |
2001年 |
2002年 |
2003年 |
日本 |
2.4 |
3.6 |
0.6 |
▲1.0 |
0.9 |
3.0 |
▲1.2 |
1.1 |
3.2 |
中国 |
10.2 |
9.7 |
8.8 |
7.8 |
7.1 |
8.0 |
7.3 |
8.0 |
9.1 |
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■実質GDPと名目GDPの違いとは?
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GDPは市場価格をベースに推計されるため、物価の変動の影響を受けます。
物価変動の影響を排除して推計したGDPを実質GDPといい、排除しないものを名目GDPといいます。従って、実質GDPをもって経済活動の水準の変化を測ることが重要です。 |
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■GDPデフレターとは? |
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物価動向を把握するために算出する指標です。その他の代表的物価指数に消費者物価指数がありますが、GDPデフレーターは消費だけでなく、投資なども含めた経済全体の物価動向を示す数字です。
物価変動を考慮しない名目GDPと、物価変動を考慮する実質GDPが、どれだけ乖離しているかを表します。
名目GDP÷実質GDP=GDPデフレーター
GDPは、消費や設備投資、住宅投資、公共投資、輸出などのデータを項目別に算出し積み上げ、その数字を基にGDPデフレーターとして算出されます。
一方の消費者物価指数は対象を個人消費に限定し、生活に身近な商品などの物価動向を示します。すなわち、GDPデフレーターは設備投資や公共投資など幅広い分野の物価変動を反映していると言えます。 |
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■日本のGDP
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日本のGDPはおおよそ500兆円以上あり、個人が約6割、企業などが約3割を占めています。
国民1人あたりにすると400万円以上になります。
2002年における比較可能な世界各国の名目GDPは、アメリカが第1位で10兆4808億ドル、日本は第2位で3兆9918億ドルです。なお、中国は第6位で1兆2370億ドルでした。
同じく、1人当たりの名目GDPを金額の多い順に並べると、ルクセンブルクが第1位で4万6951ドル、第2位はノルウェイ、スイス、アメリカと続きます。
日本は第6位で3万1313ドルです。
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