Halcyion Diary

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<<   作成日時 : 2009/08/09 21:53  

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今日は朝7時から仕事でした・・・・・。これからお盆商戦に入るのでもう12日からは連日このシフトが続きます、頑張れ私;そんなわけでこの連載もお休みになるかもしれません、そうなったらごめんなさい。

拍手お礼です!先程21時に拍手くださった方ありがとうございます!!
続きが間に合わなくてすいませんでした〜;



Marine Blue Marine 74




翌朝の出立は早かった。乗り換えのための滞在ではあるがせめてニューヨークらしく、ということで空港のスタンドでベーグルのサンドイッチとコーヒーを買って朝食を済ませ、機上の人となった沙織とサガは昼前にはリンデン・ビンドリング国際空港に到着していた。国際空港の名が嘘のようなのどかな雰囲気だがここはバハマ諸島への玄関口とも言うべき空港でアメリカを中心にカナダ・イギリスなどからも数社の国際線の乗り入れがあるのだという。

「朝はニューヨークにいたのに、もう私達は別の国にいるのですね・・・・・」

南国らしい青く澄み渡った空を見上げつつサガがしみじみとつぶやいたのが妙におかしくて、沙織はつい笑い出した。

「・・・・・私は何かおかしなことを申しましたでしょうか?」

「だって、サガはその気になれば光の速さで世界中を移動できるはずでしょう?なのにしみじみそんなこと言うんですもの」

本当に、移動するだけなら異次元を経由するなりテレポーテーションするなりした方がはるかに速いのだ。いや、そんなことをしなくても黄金聖闘士であるサガならば自身の足で走った方がずっとずっと速いだろう。
わざわざ飛行機で移動したのはとりあえずバハマへの入国手続きをしなければならない、という現実的な理由があったからだ。ここから先の移動はそれこそサガにフォローしてもらった方がはるかに時間の節約になるはずだった。

「ああ、・・・・・そうですね。今気が付きました。きっと、飛行機で移動したからこそ距離を実感できたのですね。普段、聖域の任務で外国に赴く際はほとんど異次元を経由するかテレポーテーションを使ってしまうかですから。ただ職務の上で行って帰ってくるだけならば早く移動できるに越したことはないですし、最初から日程もそれを前提に組まれていますから・・・・・」

それこそサンクトペテルブルクにもストックホルムにも日帰りだった、とサガは笑う。

「・・・・・・・」

そうか、聖域からほとんど出た事のないサガは乗り物などに縁がなかったのだろう。というより必要がなかったというべきなのかもしれないが。黒髪のサガが何故『地上の覇権を我が手に』などと考えてしまったのか、ほんの少しわかった気がした。その気になれば光の速さで駆け抜け世界のどこにでも行くことが出来るが故に、そして実際は聖域からほとんど出たことがなかったが故に、彼にとっての世界は地図の上のもの、あるいは外交戦略上のものでしかなかったのだろう。

・・・・どうせなら、サガにエンパイア・ステートビルや自由の女神を見せてあげればよかった。この時沙織は初めてそう思い、ほんのちょっぴり後悔した。

「・・・・・とりあえず、このままエルーセラ島に渡ってしまいましょうね。ホテルはもう予約してありますから荷物を置いて・・・・・それから行動した方が楽ですし。」

「エルーセラ・・・・?」

それは、ギリシャ語で『自由』を意味する言葉であったはず。サガが首をかしげる。

「ええ、その島こそが今回の旅行の目的地なのです。・・・・・この国は昔イギリスの植民地だったはずなのに、この島は何故かギリシャ語の名前が付いているんですよ。面白いでしょう?」

示唆するような沙織の言葉にサガは小さく息を呑み、わかりました、と答えてくれた。

「大体の方角と位置がわかればテレポーテーションで移動できますか、サガ?」

「はい、ただ、次元移動の方が細かい調整がききますので移動するならそちらの方がよいかと存じますが・・・・・・」

「方法は任せます。ここから東に90kmほど移動したあたりにエルーセラ島があります。出来れば島の北部にあるハーバー・アイランドというところに行きたいのですけど・・・・・・」

ここです、と沙織はバッグから取り出した地図を広げて指し示してみせる。それが効を奏したのかサガは表情を和らげうなずいて、大体わかりましたので大丈夫です、と言ってくれた。つくづく、便利な能力だ・・・・・いや、そんなことを可能に出来るサガの潜在能力こそが驚嘆に値するのだろう。

「では、こちらへ―――」

立ち上る黄金の小宇宙に彩られたサガがこちらに手を差し伸べる。沙織はうなずき、そっとその手を取った。

「アテナ。―――着きました」

目の前が急に明るくなった、と思ったその時サガの声がそう呼びかけてくれる。瞬きをひとつしてあらためてあたりを見回した沙織の目にまず飛び込んで来たのは息を呑むほど鮮やかなブルーの空と海のコントラストだった。

「―――わぁ・・・・・」

写真や映像で見る、『南の島の楽園』そのものの光景が目の前に広がっている。サンゴ礁の島であるせいか海の色も浅瀬と沖合いでははっきりと異なる色調で、見ているだけで吸い込まれるかのようだった。

「綺麗・・・・・」

「ええ、本当に・・・・・・こんなに美しい光景は初めて見ました。確かにここならば神がおわすと言われても信じられるような・・・・そんな気がします。私はスニオン岬から見た海しか知らなかったのですが・・・・・この海もとても美しい」

サガは、目の前の明るく晴れ渡る空と同じ色をした瞳で海に見とれている。ここちよい潮風に長い髪がさらわれるたび、光に当たってきらきらと輝き光を放つ。その輝きを纏いつかせ佇むその姿はたわむれに地上に降りた神の化身のようだった。なるほど、この外見だけ取り上げてもサガは「神のようだ」と呼ばれてもおかしくなかったかもしれない。事実、おぼろげな記憶の中の親族達・・・・・オリュンポス神族の中にもこれだけ見目麗しい者はそうそういなかった。

「・・・・・今見ているこの海は、大西洋です。かなり端の方になってしまいますけど、ここはカノンが守る海の一角でもあるのですよ」

島の位置からして一応こちら側は大西洋に面しているはず。沙織の説明にサガは目を瞠って「カノンが・・・・」とつぶやいた。彼はそのまま食い入るように海を見つめていたがやがて深い深いため息をついて、

「・・・・・・カノンは、こんなにも綺麗なものを守っているのですね。多くの無辜の人々が生きる地上と同じくらいに貴重で大切なものを・・・・そのために戦うことを選んだ。それが・・・・カノンの歩むべき道なのですね」

「サガ・・・・・」

「お時間を取らせてしまい申し訳ありませんでした、アテナ。―――参りましょう」

サガが、さっきと同じように手を差し出す。どこかに連れて行ってもらうためではなく彼を慰め力づけるために、沙織はそっとその手を握ったのだった。







本当はもっとあちこち観光させてやりたいのですがそれやってるといくら書いても足りないので割愛;
実際はバハマに着いた時点でまず首都ナッソーへ飛んでそこで観光するのが主流だと思います。というかナッソーとその対岸にあるパラダイスアイランドが観光のメッカなんですよね・・・・。設備も揃ってるし。

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