マイク捜査官着任から一週間後の2月2日。LA市内にあるスーパーの駐車場にて、血で真っ赤に染まったTシャツを着たまま恍惚の表情で歩く
エドモンド・キャリー(当時21歳)が補導された。
そこから3マイルほど離れた国道に停車した車内から
アイーシャ・イニング(当時34歳)の惨殺体を発見。
調査の結果、Tシャツの血はアイーシャのものであったことが判明する。
殺人容疑でエドモンドを緊急逮捕。家宅捜査の結果、乱雑に散らかった室内からイライザ・セルの髪の毛と体の一部を発見。
さらにイライザ殺害現場に残された指紋とエドモンドの指紋も一致、警察は、エドモンドがイライザ・セル、アイーシャ・イニング殺人の犯人であることを断定した。
彼に殺人を引き起こさせていたのは『生贄を捧げなければ悪魔に殺される』という妄想だった。
またエドモンドは、最初の犯行現場である雑貨屋近くに住み、仕事をクビになったばかりであり、過去に精神障害で入院歴があった。
ちなみに、彼の血液型はA型でその他エドモンドとブラック・マリアを繋げるものは一切存在していない。
世間が最も驚いたのは、エドモンドがマイク捜査官の示した犯人像とほとんどの点で一致していたことである。
マイク捜査官はその信頼性をアピールすることに成功し、市民はニューヒーローの誕生を心から歓迎した。
マイク捜査官の指示を無視して未然に凶悪殺人を阻止出来なかったハンク警部は完全に失脚、二人の対決はマイク・クアイエット捜査官の勝利で終わる。
名実共に主導権はマイク捜査官に移り、彼は

ブラック・マリア事件

解決に向けての本格的な捜査に乗り出した。
彼はまず、捜査部隊に『ヴィヴィアンと同じ年頃の行方不明女性を再度洗い直し、近辺の死体を遺棄しやすそうな場所を徹底捜索しろ』と指示した。
犯人の手際の良さは、犯人がブラック・マリア事件に至るまでに複数の殺人を犯した可能性を示唆し、過去の未熟な犯行ほど犯人逮捕に繋がる多くの手がかりを残している可能性が高いからであった。
数ヶ月に渡る探索の結果、LA市警の捜査部隊は森林やカリフォルニアに隣接する海の中からいくつかの身元不明死体を発見した。
その中の3体が、ヴィヴィアンと年齢の近い行方不明女性リストにあった
アマンダ・スクリーム、ジェシー・ルール、
サラ・ストサマーの3人と一致。
彼女達の背中に無数の刺し傷があり、また体内の血が完全に抜かれていたなどの状況から、ブラック・マリア事件の犯人と同一の殺害方法と認定。
マイク捜査官は『犯人は少なくとも、ヴィヴィアン、アマンダ、ジェシー、サラの4人を殺害し、時間軸に沿って殺害行為の精度が上がっていることから、

完璧なる芸術殺人

のための実験殺人を行っていた可能性が高い。ブラック・マリア事件と違い、遺体を隠したのは未完成な作品を世に晒したくない、というアーティストを気取った犯人の

こだわり

からではないだろうか』と、分析した。