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 さて、第一章の後半では予定通りスクール水着の種類について語らせていただくとするが、まず近年におけるスクール水着の目覚ましいモデルチェンジには驚嘆せざるを得ないだろうということを記述しておく。男子生徒用のスクール水着が戦後まったくと言っていいほど変化せず、昔と変わらぬまま今に受け継がれているのに対し、女子生徒用のスクール水着は今日においては旧・旧旧・新・競泳・スパッツの五タイプに大別できるほどの充実ぶりである。これはもちろん、現場のニーズによるものが大きい。突き詰めてみれば学校教育における体育教科、その中のごく限られた単元であるところの水泳授業でしか使用されることのない(もちろん、海水浴や市民プールでスクール水着を着用する女性も少なからずいるが、本格的に水泳を嗜む者以外は、基本的に年齢を重ねるうちにビキニなどに移行していくのが自然である)スクール水着に、これだけ多くの種類が存在することはある意味異常なのである。もちろん、我々スクール水着愛好家としては喜ばしい限りではあるが、そういった個人的な思い入れ抜きで考えてみれば、その尋常でなさに嫌でも気付かされる。
 これは、一言で言うと男女の意識の違いである。
 男子にとっては自身が着用するスクール水着などあくまでもただのスクール水着である。それ以上でもそれ以下でもなく、そこには必要最低限の水着としての機能さえあればいい。と、多くの男子はそう考えている。ゆえに、男子用のスクール水着は変化もしなければ進化もしなかった。男子がそれを望まなかったからである。
 しかし女子は違った。皆さんも知っての通り、女性とは自分が異性を含む他人からどう見られているかを過度に気にする人種である。それゆえに女性は男性以上に自己を磨き、また少しでも自分を良く見せようとする努力を惜しまない。そんな彼女らが、たとえ水泳授業でしか縁のないものであろうと、自身が身に付けるものであるスクール水着にファッション性を求めないはずがないのだ。女子は自身を美しく見せたい。可憐に見せたい。だからスクール水着にもそれ相応のものを求める。ゆえに女子生徒用のスクール水着は、女子たちの需要に応えて日々進化を続けてきた。その結果が、前述の五つのタイプ化である。
 まず旧タイプだが、これはその名の通りかなり前から存在するタイプの水着である。
 前側の股間部の布が下腹部と一体ではなく分割されており、下腹部の裏側で重ねられて筒状に縫い合わせてあるのだ。前から見るとスカートのように見える、と言えば、大体どのような形状をしているのかイメージできる方も多いだろう。ゆえにまたの名前をスカート型、あるいはダブルフロントという。その独特の形状の理由には諸説あり、「身長の伸びや運動に応じての布地の伸縮をある程度許容するため」「胸元から入る水流を股間部で逃がすため」などが有力である。また、このタイプの多くは背面がU字型となっている。伸縮性に乏しいという弱点があり、それを補おうとした結果分厚くなってしまったものも多かったという。ちなみに余談ではあるが、ここまでの記述で股間部や下腹部といった単語に過剰な反応を見せた者は僕の同志である。
 続いて時系列的には入れ替わるものの、旧旧タイプを紹介しよう。
 スカート状の上半身部とブルマー状の下半身部が分離していて、旧タイプとは違いスカートが後ろにも存在している。ちなみに旧タイプが旧タイプと呼ばれるようになってから、このタイプはそれに伴って旧旧タイプと呼ばれ始めたわけであり、それまでは特に名称はなかったようである。このタイプの内部構造は独特であり、上半身部を脇の下辺りまでめくり上げることが可能になっている。ただし上半身部内側に全周にわたり裏布が配してあり、さらにその裏布に下半身部上端が縫い合わされているため、残念ながら上半身部をめくり上げても肌が露出することはなく、また下半身部のみを脱ぐことはできない。旧旧タイプとはいえ、少女の裸体を隠し守るだけの機能は十二分に備わっていたということである。なお、このタイプはその独特の形状からか、サブカルチャー作品においてよく描かれることの多いタイプでもある。ただしこのタイプの一般における認知度は極めて低い。
 続いて新タイプであるが、これはスクール水着と言われたときに多くの人が思い浮かべるタイプであろう。一般的なワンピース水着同様に前部の布と後部の布が底部で縫い合わされており、股間部は分割されていない。また背面の形状はU字型以外にもY字型も存在する。下半身部の形状は競泳タイプとある程度類似するものの、素材の差ゆえか競泳タイプよりゴワゴワするものも多い。ちなみに私事ではあるが、僕は本日、ついに念願だった同級生女子のスクール水着姿を、グラウンドでソフトボールをしながらではあるが目撃することができた。手元に双眼鏡あるいはデジタルカメラがなかったことだけが心残りではあるが、可憐な少女達と奇跡の布とのコラボレーションを目の当たりにすることができたので十分満足している。この感動は高校生活三年間の中でも特に輝かしいものとして永遠に記憶されることだろう。
 話を戻して、次は競泳タイプである。
 これは要するに競泳水着のデザインを踏襲したスクール水着で、他のスクール水着とは違いさほどシンプルではないといった点が挙げられる。とはいえ健全な学校教育を問題なく実施するための都合上、背中の開きはさほど広くない製品が多い。ただしこのタイプが一番、紺や黒以外の様々な色を使用することが多いという点は評価すべきである。また、一般的な競泳水着に学校のロゴを入れたりオリジナルデザインにするなどしてスクール水着として使用する場合もあり、その場合は学校指定水着らしからぬハイレグなボトムラインとなることも多い。ローレグよりもハイレグという方がいれば、台湾に行くといい。台湾では、比較的強いハイレグカットを導入した例もあるようである。
 最後にスパッツタイプではあるが、これが現時点では最も新しいタイプの水着である。
 ボトムラインをスパッツ状とし太ももを半ばまで覆う形状にしていて、「ユニタード水着」という別名も持っている。トップとボトムを分割しセパレーツとしたり、トップに半袖を追加したりと独自の進化を遂げているので、今後新しいタイプの水着が出現するとしたら、このタイプをベースにしたものになる可能性が高いと、僕はそう踏んでいる。
 女子生徒用のスクール水着は以上であるが、男子生徒用のスクール水着に関しては特に語ることはない。ボックス型、ビキニ・ブリーフ型、トランクス型が存在するようだが、まあ実質的にほとんど同じようなものであるし、どれもこれも女子におけるビキニ水着同様、下着の型を転用したに過ぎないので魅力には乏しい。
 なので以上をもって第一章『スクール水着の変化の歴史』を終わりとさせていただく。
 次章ではいよいよ本格的に、ビキニ水着を比較対象とすることでスクール水着の素晴らしさを浮き彫りにしていこうと思う。
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