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支局長からの手紙:温泉で健康を /岡山

 「未病(みびょう)」という言葉が辞書に載り始めました。「大辞林」には3年前、「広辞苑」には昨年の版から登場。大辞林には「病気ではないが、健康でもない状態。自覚症状はないが、検査結果に異常がある場合と、自覚症状はあるが、検査結果に異常がない場合に大別される……」とあります。該当者は結構な大集団になりそうです。

 そんなことを思ったのも、鳥取県三朝(みささ)町にある岡山大学病院三朝医療センターを見学させてもらったのがきっかけでした。800年以上前からの湯治場・三朝温泉にある同センターは国内の大学施設でただ一つ、「温泉療法」を実践しています。これからは生活習慣病やストレス性疾患、健康増進などを温泉療法が幅広く受け持ち、「未病」にもさまざまなケアをしていくことが求められているそうです。

 三朝温泉は大正時代に「ラジウム泉」として有名になり、センターは昭和14(1939)年に岡山医科大三朝温泉療養所として発足。どんな病気に温泉が効くかを研究しながら、温泉療法を続けてきました。

 センターは現在、内科とリハビリテーション科を持ち、病床数60。非常勤を含め8人の医師で診療に当たります。疾患別には(1)気管支ぜんそくなどの呼吸器疾患(2)関節リウマチ、神経痛などの疼痛(とうつう)性疾患(3)肝臓疾患、胃腸炎、消化器疾患(4)糖尿病、高血圧・動脈硬化などの慢性疾患(5)老年医学領域の各種疾患--が温泉療法の対象になっています。

 センター長の光延文裕さんに聞くと、入院患者の約35%は地元・鳥取県以外からで、岡山や近畿、関東と広い範囲から訪れているようです。入浴や温水プールでの水中運動、温熱効果を生かした鉱泥湿布、泥浴、吸入、飲泉、リハビリ、熱気浴(サウナ)とバラエティー豊か。入院の場合、3週間から1カ月の入院期間で一定の療養効果が出るようです。「環境が変わると気分も変わる。全身状態が改善され、急性期の入院を減らすようにもっていくのも大切な役割」(光延さん)といいます。

 「未病」層の健康増進策についても、町や温泉旅館、地元の観光協会などと模索しています。例えば温泉と2泊3日の人間ドックを組み合わせ、メディカルチェックをしながら、栄養指導、運動指導を組み合わせて生活習慣を身につけてもらうプランです。

 また、この春にはセンターの敷地内に、実験用マウスにラドンを一定期間吸いこませて効能を実証する「三朝ラドン効果研究施設」が完成し、このほど吸入実験が始まりました。「温泉で健康を」。科学的な裏付けが進むと、「いい湯」もさらにランクアップしそうですね。【岡山支局長・松倉展人】

毎日新聞 2009年8月10日 地方版

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