衆院選をにらんで自民党の鳩山邦夫前総務相ら反麻生勢力が検討していた、独自のマニフェスト(政権公約)作成の動きが失速している。日本郵政の社長続投問題で、麻生太郎首相に更迭された鳩山氏は解散前、独自のマニフェストを作成すると公言してきたが、結局、持論を並べたビラを公表しただけとなった。自民党への逆風が伝えられる衆院選で党内に分裂選挙に走る余裕はなく、同調者も広がりを欠いている。【山田夢留】
解散前、鳩山氏は麻生首相とは別の首相候補を立てて選挙戦に臨むことを想定し、「南北朝というようなケースもあるかもしれない。各グループが自分たちだけのマニフェストをつくる必要があるかもしれない」などと強調。今月に入り「正義をつらぬく白い鳩(はと)」と大書したビラを作製した。
ビラでは日本郵政の不正をただすとして「正義の実現」のほか、環境革命や社会保障制度の再構築などをうたった。だが中身はスローガンの列挙にとどまった。鳩山氏に近い前衆院議員ら10人程度が選挙区で配布する方針だが、党マニフェストと重なる部分もある。
鳩山氏と同じく麻生首相に距離を置いてきた塩崎恭久元官房長官は、自らのメールマガジンで、党のマニフェストを「大分しっかりしたものが出来上がった」と評価した。鳩山氏周辺からは「政権選択の選挙で、独自マニフェストが注目されるのは無理」との声も聞こえる。
毎日新聞 2009年8月6日 2時30分(最終更新 8月6日 8時13分)