“電池革命”始動 米政府24億ドル投入 覇権目指す
8月7日7時56分配信 産経新聞
■「デトロイト救済」色濃く
【ワシントン=渡辺浩生】米政府が電気自動車(EV)や次世代ハイブリッド車生産のカギを握る高性能電池の開発に向け、本格的に動き始めた。オバマ大統領は5日、ビッグスリー(米自動車3大メーカー)とリチウムイオン電池開発で提携した企業などを対象にして総額24億ドル(2280億円)の無償供与を発表し、次世代エコカーをめぐる世界競争で米国が日本などから主導権を奪還するとの意向を表明した。
次世代エコカーとして日本メーカーやビッグスリーが開発に取り組むEVのほか、家庭電源で充電可能なプラグイン・ハイブリッド車は、大容量で超小型のリチウムイオン電池の量産化の成否がカギを握るとされており、各自動車メーカーは電池メーカーと提携して開発を進めている。
オバマ政権の「電池革命」は、このリチウムイオン電池の開発で米国が世界をリードすることで、ビッグスリーの再生を図るのと同時に、温室効果ガスの削減と輸入石油依存からの脱却、そして雇用創出を目指していくものだ。
5日発表した総額24億ドルの資金供与は、米に拠点を置くメーカーによる電池やEV開発の先進的事業を対象とするもので、7870億ドルの大型景気対策の一環となる。エネルギー省が165の応募から48事業を選出した。これらが実用化すれば、数万人の雇用創出効果が見込めるという。
この応募の中には(1)ゼネラル・モーターズ(GM)が来年投入するEVシボレーボルトへ電池を供給する韓国LG化学の米子会社(2)フォード・モーターが投入するプラグイン・ハイブリッド車の電池を生産する米ジョンソン・コントロールズと仏電池大手サフトの連合体(3)クライスラーと提携した米有力電池ベンチャーのA123システムズ−などが並ぶ。
これらの企業は、ビッグスリーの本拠があるミシガン州でリチウムイオン電池の生産を計画しており、A123システムズは工場建設資金に18億4000ドルの政府融資もエネルギー省に申請している。同州の失業率は全米最悪の水準で推移しており、「先進電池の生産で世界の首都になる」(グランホルム州知事)と意気込んでいる。
米政府は、連邦破産法11条の適用を終えたGMの株式の過半数を握っている。電池開発への支援にも、日本メーカーを排除して「デトロイト救済」を図るという政権の思惑が色濃く表れている。
ただ、世界の電池市場で米国は劣勢だ。エネルギー省によると、パソコンなど個人向け電気製品のリチウムイオン電池は98%がアジア製が占めており、米国のハイブリッド車に使われる電池も99%が日本製だ。
オバマ大統領は5日の演説で、次世代エコカーをめぐる電池開発投資で米国が日本や中国に出遅れていることを認めたうえで、「次世代のクリーンエネルギー車で主導する戦略に自分は取り組んでいる」と強調し、覇権獲得に強い意欲をみせた。
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オバマ大統領は5日の演説で、次世代エコカーをめぐる電池開発投資で米国が日本や中国に出遅れていることを認めたうえで、「次世代のクリーンエネルギー車で主導する戦略に自分は取り組んでいる」と強調し、覇権獲得に強い意欲をみせた。
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最終更新:8月7日7時56分
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