「逆取材させてください」。先日、インタビューした映画監督からそう言われ、写真を撮られました。一瞬、意味が分からず「ボーッ」としてしまいましたが、詳しく話を聞いたところ、取材を受けた各社の記者をカメラに収めているのだそうです▼写真を撮られる瞬間、少しだけ心がざわつきました。それは撮られることに抵抗があった訳ではなく、私が仕事でさまざまな人へカメラを向けることで、相手に多大な精神的負担をかけていたかもしれないと考えたからです▼自分が被写体になり、そのことに気づくことができました。そして、相手にきちんと配慮した上で、取材をしようと思いを新たにしました。【小川信】
毎日新聞 2009年8月8日 地方版