「いまも体がむしばまれている」。被爆者が訴える消えることのない「核の恐怖」を裏付ける写真が初めて撮影された。昨日の本紙に掲載されていた。
成功したのは長崎大の研究グループだ。長崎への原爆投下で死亡した被爆者7人の解剖標本を約3年間にわたって研究し、体内に取り込まれた放射性降下物が、被爆から60年以上たっても放射線を放出している様子をとらえた。
原爆さく裂時など放射線を体の外側に浴びた外部被ばくの健康被害研究に比べ、遅れていた内部被ばくの実態がみえてきた。体の中で生き続ける放射性物質がどこにどんな病気を引き起こすか、被爆者はいつまでも不安から逃れられない。
あまりにむごい核兵器への怒りがあらためて込み上げてくる。希望は、オバマ米大統領が4月のプラハ演説で「核兵器のない世界」を提唱したことだ。核廃絶への機運が高まってきた。
現実は厳しく、核武装に突き進む北朝鮮などが立ちはだかる。オバマ大統領が訴える。核兵器の拡散は「食い止められないと主張する人もいる。あきらめこそが極めて有害な敵なのだ。われわれはともに立ち上がらなくてはならない」。
きょう9日は、長崎原爆の日である。広島、長崎の被爆地に続く第3の悲劇を防ぐ決意が大切だ。核廃絶は絶対に実現できる。