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【昭和正論座】学習院大教授・香山健一 昭和50年11月4日掲載 (1/4ページ)

2009.8.8 07:56

 ■“PPM信仰”を打破せよ

 ≪「GNP失速」に責任追及≫

 かつて、昭和四十年代の高度経済成長時代に、朝日新聞は「くたばれ!GNP(国民総生産)」という特別連載をしたことがあった。左翼労働運動のリーダー、革新自治体、革新政党のリーダー、「進歩的文化人」なども、これに唱和して「くたばれ!GNP」と勢いよく中天に向かってげんこつを突き出していたものだ。かれらは「諸悪の根源」は経済成長にあり、経済成長さえなくなれば、物価も環境も、福祉問題も都市問題もすべてが一挙に解決して素晴らしい理想状態が出現するはずだ、と主張してはばからなかった。

 そのとき、私は「話はそんなに単純なものではない。もしも経済成長がストップし、GNPがくたばったりしようものなら、それこそ不況、失業、低賃金、物価高、インフレーションなどが併発して悲惨なことになりかねない。また国民総生産がダウンすれば、税収の減少から財政難に陥り、社会福祉、公共投資にも重大な支障をきたすことになるであろう」と警告して、「くたばれ!GNP」論の無知さを批判し続けた。

 さて、石油危機を直接の契機として、わが国の高度経済成長時代は終わりを告げ、ゼロ成長ないしはマイナス成長の状態に陥った。その意味では、文字通り、GNPは「くたばった」のである。ところが、かれらは今度は突然スローガンを塗り替え、雇用闘争本部などを設置し、GNPをくたばらせたのは誰だ、とばかりその責任追及に乗り出したのである。これは全く筋違いの要求というべきではないだろうか。

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