2009年7月29日 20時55分 更新:7月30日 1時49分
民主党は29日、公表済みの衆院選マニフェスト(政権公約)を修正し、地方分権改革に関して全国知事会や大阪府の橋下徹知事が求めた「国と地方の協議機関の設置」を盛り込む方針を固めた。これに関連し、鳩山由紀夫代表は同日、「(27日に発表したのは)正式なマニフェストではない」との考えを表明。他の分野でも修正が加えられる可能性が出てきており、自民党は批判を強めている。
鳩山氏は29日、熊本県菊陽町で記者団に「正式なマニフェストとは公示日からしか配ることはできない」と指摘。その上で「『国と地方の協議機関』という文言を入れるよう指示した」と述べた。
橋下知事は今月上旬、自民、民主、公明の3党に対し、国と地方の協議機関の設置などをマニフェストに盛り込むよう要請した。しかし民主党は応じず、橋下知事は「(民主党は)知事会に配慮しなくてもやっていけると考えている」などと不満を表明した。
ただ、民主党はマニフェストの基となる「09年政策集」には「国と地方の協議を法制化する」と明記している。政策転換の必要はなく、橋下知事に配慮する形で同党の地方分権担当議員がマニフェスト修正を働き掛けた。
発表後の修正に関し鳩山氏は、今月21日の記者会見でも「付け加えることがあればそのような発信をしたい」と述べていた。しかし、与党は状況に応じて小出しにしていると受け止め、反発を強めている。
麻生太郎首相は29日、鳩山氏が発表済みのマニフェストを「正式のものではない」と発言したことに対し、福岡県那珂川町で記者団に、「ちょっと常識的には考えられない。正直言って混乱する」と述べ、民主党の対応を強く批判した。【野口武則】