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特集ワイド:10歳で被爆 美輪明宏さんの目に映る日本(3/6ページ)

 既に恐怖感を超えていた。「もうおしまいだ。日本は二度と立ち直れない。この国はなくなるんだ」。そんな気持ちだけだった。

   ■

 県庁近くの小さな病院の前を通ると、髪の毛が抜け落ち、体中にやけどを負った人たちが炎天下に列を作っていた。病院は半分壊れ、薬も包帯もない。治してもらえる可能性は万に一つもないのに座り込んでいる。夏だから傷口にウジがわく。いくら取ってもぞろぞろと出てくる。

 「あの光景を米軍に見せてやりたい」

 原爆を開発した科学者、投下にゴーサインを出した政治家、死の商人たちは許せない。名前を挙げた科学者の一人は、物理学者エドワード・テラー(03年没)。核兵器開発のマンハッタン計画に参加し、一部の科学者が反核に転じた後も水爆開発の中心となった人物だ。「ビキニ環礁で水爆実験を成功させた後の記者会見で、放射能の後遺症は絶対にありません、と笑ったやつ」

 美輪さんも放射能の後遺症に苦しんだ。16歳で東京に出てきてから悪性貧血になり、髪が「だー」と抜けた。

毎日新聞 2009年8月7日 東京夕刊

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