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水俣病、千人規模調査へ 69年以降出生者を念頭

2009年7月8日7時24分

 水俣病未認定患者の救済問題で、民間医師らが9月、熊本県水俣市など水俣病が発生した不知火海沿岸地域で、千人規模の住民健康調査を実施する。国が「新たな水俣病の発生はない」としている69年以降に生まれた若い世代の被害の実態などを明らかにするのが目的だ。

 7日、水俣市では、七つの患者団体や熊本県民会議医師団などでつくる「不知火海沿岸住民健康調査」の実行委員会が発足した。水俣地区を始め、全国の内科や神経内科を中心とした医師100人に参加を呼びかける。

 委員長には、長く水俣病患者を診察し、著作でも広く水俣病を知らしめた熊本学園大の原田正純教授が就任。熊本大のかつての水俣病研究班員で原田教授とともに先駆的な研究をしてきた藤野糺(ただし)医師、現地での診察歴が長い高岡滋医師らと、具体的な診断方法を今後詰めていく。

 調査は9月20、21日。不知火海沿岸域の住民千人が目標だ。参加に名乗りを上げる開業医らの病院や地区の公民館などを拠点に診察する。

 実行委員会に加わる全日本民主医療機関連合会の湯浅健夫・事務局次長は7日、東京で被害者らが開いた集会で、加害企業チッソが有害な工場排水を止めた後の69年以降に生まれた人たちにも、患者が相当数いるとみられることを指摘。「救済されなければならない人がまだまだたくさんいる。これで幕引きさせるわけにはいかない」と訴えた。

 実行委員会は「69年以降の若い世代の問題などを念頭に置いているが、健康不安を抱える人に幅広く足を運んでほしい」と呼びかけている。

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