森永経済コラム
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森永総研

特集・日本の朝ごはん〜海外朝ごはん事情

更新日:7月14日
「特集・日本の朝ごはん」をお送りしている「朝はニッポン一番ノリ!」。
14日(金)の「森永総研」では『海外朝ご飯事情』を特集、
世界各国に住む方々に、大アンケート調査、総力取材を実施しました。

●まずは“肥満大国”アメリカ。
 アメリカで広く食べられている朝ご飯は、
 トーストやハムエッグ、マフィン、ベーグル、シリアルといった、
 簡単に作れてすぐ食べられるものが主流ですが、
 例えばニューヨークなどの場合、中学生くらいの年代になると、
 夜更かしや寝坊、親の放任のため、朝ご飯を食べていない子どもが多数。
 そんな子ども達の大好物は、ファーストフードやスナック菓子、清涼飲料水。
 これが、“肥満”に直結していると言っても、過言ではないでしょう。


●実はイギリスでも、子どもの3分の1近くが、肥満か太り気味なのが大問題!
 イギリスでは共働きの家庭が多く、学校には、
 子ども達に朝食を提供する「ブレックファースト・クラブ」、
 軽食を提供する「アフタースクール・クラブ」・・・などがあります。
 最近日本でニュースになった、“朝ご飯給食”など当たり前の状況。
 1日の食事すべてを学校で取ることになる子どもさえ居るわけです。

 イギリスでは1880年代、サッチャー政権の時に、
 学校給食が全面的に民間業者に委託されて、
 以来給食が、子ども達の好物である
 ファーストフードばかりのメニューとなってしまい、
 “肥満”へと結び付いたわけです。

 そこでイギリスでは、「調理界のベッカム」と呼ばれる
 カリスマシェフが中心となって、
 「子ども達にまともな給食を」といったキャンペーンを展開。
 結果、イギリス政府は去年の秋、学校給食に細かな栄養基準を設け、
 学校内でのチョコレートや清涼飲料水の販売を禁止するに至り、
 給食改善に440億円もの予算を付けるという、
 対策を打ち出しました。


●もともと共働きが多く、離婚家庭も多いフランスでは、
 家族揃って朝食を食べる家庭は、そう多くはないようです。
 小さな子どもの居る家庭では親が朝食を準備しますが、
 小学校の中学年ともなりますと、子供任せ。
 この場合、子どもが自分の好きなものばかり、
 例えばチョコレートクリームばかりをパンに塗って食べたりするため、
 やはり“肥満化”が、問題となってきているようです。


●ドイツやスペイン、ギリシャなど、ヨーロッパの国々では、
 元々、朝と夜はあまり食べず、1日のメインの食事は
 昼食であることが、少なくないと言われています。
 例えばスペインの場合。子ども達は通学前に、
 牛乳とビスケットやシリアル、トースト等を軽く取って登校。
 午前10時頃の中休みに、親が作って持たせてくれたサンドイッチや、
 外に出て買ったパンなどを食べると言います。そして午後3時頃、
 学校が終わると、帰宅してから自宅で昼食といった食生活です。

 スペインでも、2才から15才の子どもの、
 4人に1人以上は肥満ということが、社会問題化!
 朝ご飯をしっかり食べずに、昼食を食べ過ぎるという“食生活”自体が、
 肥満につながっていると、指摘されるようになってきています。


●ヨーロッパとアジアの中間地点である、トルコ。
 一般的な朝ご飯は、パンに白チーズ、オリーブの実、
 バター、蜂蜜、ジャム、トマトやキュウリなど。
 首都イスタンブールのような大都市では、共働きが多く、
 交通事情も悪いため、親は非常に朝早く家を出なければなりません。
 トルコ人男性と結婚し、現在2人のお子さんがいる、
 イスタンブール在住の伊藤真理さんに“朝ごはん事情”を聞きました。
  
 『朝すごく早く、7時とかに子どもを預けていくので、
  保育園の対応はすごく柔軟で、朝ご飯を食べさせてくれる所が多いですが、
  小学校では、朝ご飯は出ません。
  結構早起きして、みんなで朝ご飯、家族で食べている人も多いです。
  子どもが朝、早く起きれるかによりますけど、
  全然食べさせないで出すってことは、ないと思います』

 トルコでは、子供にきちんと朝ご飯を食べさせるといった習慣も、
 今の所は大きく崩れていない模様です。


●「台湾・太陽工業」に勤める29才の女性、リー・ペイジンさんに、
 台湾社会での“朝ご飯”の変遷を伺ってみると・・・

 『私の場合は、子どもの頃は、
  親が牛乳とかサンドイッチを作ってくれたんですが、
  中学校になって、ほとんど“外食”になり、
  現在はほとんど作っている家庭は、ないですね。
  おそらく理由は、外食の専門朝食店が急増したこと。
  歩いて5分距離で1軒あり、外の方が便利だと考える人が多い』

 “専門朝食店”増加の背景には、
 経済成長で“共働き”が増えてきたこともあると思われます。
 そうしたお店で扱っているのは、
 揚げパン、おかゆ、点心、豆乳といった伝統的な朝食もありますが、
 最近ではサンドイッチや牛乳といった西洋風の朝食の方が、
 主流となってきているそうです。
 子ども達は、通学の途中でそうしたお店に寄って食べたり、
 テイクアウトして、学校に持って行って食べるというわけですが、
 最近では朝ご飯を食べない子供も増えているようです。


●中国本土でも、やはり伝統的な朝食が、西洋化しつつあると言います。
 上海などでは、やはり“共働き”が普通。
 朝ご飯は、外食か配達弁当、もしくは家政婦が作るといったケースが多く、
 一家の母親がご飯を作るのは、珍しいことだと言います。
 最近は、朝ご飯を食べない子どもが増加。
 教育熱に比べ、子どもの健康のことはあまり考えない人も多いため、
 肥満や低血糖の子どもが急増していると言います。


●韓国では、ご飯に韓国式味噌汁などのスープ類、
 韓国海苔やキムチなどのおかず・・・といった朝食が一般的。
 最近パン食も増えてきたと言いますが、
 まだまだご飯食が多いということですが、こんな問題が起きてきています。
 「進研ゼミ」等でお馴染みの「ベネッセ・コーポレーション」の
 韓国法人に勤め、2人の女の子の父親である、
 ソン・チャンボンさんに聞きました。

 『最近は、やっぱり朝ご飯を食べない世代とか人が増えまして、
  30代では、もう40%は朝ご飯を食べてないと。
  13才から19才の人でも、20%くらいの人が
  朝ご飯を食べていないというデータが出ています』

 韓国では1997年のアジア通貨危機以降、
 “勝ち組・負け組”の“格差社会化”が激しくなったと言われます。
 そんな社会状況の中で、こんな朝食のパターンも出てきているそうです・・・

 『そもそも家庭が貧しいというのもありますし、
  韓国も離婚がいま社会問題となっておりまして、
  親が居ない、子どもだけのその世帯で、
  朝ごはんが食べられないという状況があります。
  ただ、そういう貧しい家庭に対しては、
  国の方から3食全て用意してくれるので、
  ボランティアの方を中心に、
  朝ご飯とかを直接家に配達するサービスを行っています』



◎今回、ヨーロッパやアジア諸国以外にも、
 アフリカや中南米、その他の国々の取材も行ったのですが、
 今回は、日本に近い問題が起きつつある国々を中心に取り上げました。
 アフリカ、中南米などは後日、放送していく予定です。
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