2009年8月8日15時2分
国内の鉄道事業者と鉄道関連メーカーが、新幹線や、リニア技術を使った地下鉄の「国際標準化」に向けて動き出した。車両の仕様や信号システムといった国内の鉄道規格を丸ごと輸出できるお墨付きを得るのが目的だ。国際競争力を高め、欧州勢と互角に渡り合おうとしている。
日本の鉄道が国際標準になるためには、スイスにある国際標準化機構(ISO)や国際電気標準会議(IEC)で「国際規格」として認められる必要がある。世界貿易機関(WTO)は、各国が鉄道車両や設備を新たにする際、国際規格を利用するよう事実上義務づけている。このため、輸出に力を入れる欧州は、技術の国際規格化を積極的に進めている。国境をまたぐ直通列車が多く、部品の統一化が進むなど好条件もそろっている。
一方で、新幹線など高速鉄道やリニア技術を使った地下鉄では、車両の幅や高さ、ホームの高さといった規格はまだ、国際規格が決まっていない。現在、欧州を代表する高速鉄道のTGV(フランス)と新幹線の規格は全く違う。新幹線のレールと比べて欧州規格は頭部の丸みが大きく、新幹線をそのまま走らすことはできない。
04年4月に開業した韓国版新幹線の「韓国高速鉄道」では、欧州と日本勢が競り合った結果、TGVシステムが導入された。
07年1月に開業した台湾高速鉄道(台湾新幹線)は日本国内の企業連合が受注し、新幹線システムを初輸出した。しかし、当初は欧州勢が優先交渉権を得て、計画を進めていたことから、レールや通信設備は、台湾側が欧州規格での建設を求めた。このため、車輪を変えるなど改造が必要になり、安全性を確保するために重要な信号システムなど、新幹線が誇る技術を丸ごと輸出することができなかった。