戦後国会に見る野党による主な審議拒否の例

 

問題となった事案

国 会

当時の

首 相

審議拒否の状況とその収拾方法

黒い霧事件

66年第52回

臨時国会

佐 藤

栄 作

野党(社会・民社・公明・共産4党の院内共闘成立)は首相の所信表明演説、代表質問をともに欠席、自民党は66年度補正予算案を単独審議、可決。国会閉会から1週間後の通常国会冒頭での衆議院解散で正常化。

ロッキード事件

76年第77回

通常国会

三 木

武 夫

自民党と民社党だけで76年度予算案を委員会、本会議ともに採決。衆参両院議長のあっせんにより、ロッキード問題特別委員会を設置で正常化。

売上税問題

87年第108

通常国会

中曽根

康 弘

野党は衆院予算委員会での提案理由説明から審議拒否。約2か月間にわたり国会が空転。衆院議長が法案の取扱いを預かり、結局廃案で正常化。

リクルート事件

89年第114

通常国会

竹 下

89年度予算案を自民党が予算委、本会議で採決。中曽根前首相の証人喚問と首相の退陣表明で正常化。

国連平和維持活動(PK0)協力法

92年第123回通常国会

宮 沢

喜 一

衆院議院運営委員長、衆院議長の不信任決議案否決後、社会党が所属議員の辞表を取りまとめるが、衆院議長がこれを認めず。首相が野党党首と個別に会談し、正常化。

政治改革関連法

93年第128

臨時国会

細 川

護 熙

野党の自民党が会期の大幅延長に反対し本会議に欠席。細川首相と河野洋平自民党総裁のトップ会談で収拾案について合意、正常化。

住専問題

96年第136回通常国会

橋 本

龍太郎

野党の新進党が住宅金融専門会社(住専)処理策に反発し、委員会室の前で座り込みを続行。与野党党首会談で正常化。

衆院議員の定数削減

00年第147回通常国会

小 渕

恵 三

法案の冒頭処理を巡り、野党の民主党・共産党・社民党が審議拒否。自自公で採決。予算の与党3党で審議。

伊藤衆院議長が2月8日、(1)代表質問については、それに代わる本会議での議事を工夫する(2)衆院予算委員会の基本的(総括)質疑は、野党の時間に配慮する(3)現行選挙制度の諸問題は参政権に係る重要問題なので各党間で鋭意協議する――という見解を提示。与党と民主党が受け入れ、2週間ぶりに正常化。

参議院比例代表に非拘束名簿方式導入の公選法改正(定数10削減を含む)

00年第150回臨時国会

喜 朗

参院比例代表選挙への非拘束名簿式の導入を巡って与野党が対立、自民、公明、保守の与党3党が、民主、自由、共産、社民の野党4党が欠席のまま衆院本会議の開会を強行、健康保険法等改正案の趣旨説明と質疑を行った。野党側は参院選挙制度特別委員会を単独開会したことに強く反発し、衆参両院で審議を全面拒否。斎藤十郎参院議長のあっせん案を与野党が拒否。議長辞任。新議長の下、参議院で自自公単独採決。衆議院では野党が審議に参加した採決で法案は『数の力で』001026日に可決。

 

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