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きょうのコラム「時鐘」 2009年8月8日
中心街を歩行者天国にする「金沢ゆめ街道」に、白山に加えて富士山の雪もやってくる。日本一の山の頂上近くの雪である
雪に変わりはない。「溶けて流れりゃ皆同じ」という歌があるが、水の味が違うように雪も違って当然だろう。どちらの霊峰も、伏流水が多くの名酒を生んでいる 水がおいしい北陸は、氷も良くて洋酒の味も抜群、とバーの店主が教えてくれた。良質の氷を見抜き、アイスピックで巧みに割るのが大事な修業だそうである。鋭いピックを手にする作業は、手を傷つけやすい。「どっちの手が危ないと思う」と聞かれた。右利きなら、氷を手にしてピックを受ける左手と思ったが、実は逆、と教えられた プロなら、ピックの手元を狂わせるへまはしない。「たちの悪い」氷を割ると、時に鋭いかけらが飛んできて不意打ちを食らい、利き腕を傷つけるという。まき割りをしくじると、木が飛んできて足を傷つけるのと似ている 油断は禁物。そんな不意打ちのゲリラ豪雨を、ことしも体験した。夏空を恋しく思いながら、雪と氷のもてなしを楽しむ。こんな「暑気払い」もなかなか乙だろう。 |