| 【外来動物根絶派の主張のまやかし】 × アライグマは天敵がいないから、このまま放置しておくと日本中アライグマだらけになる? 外来種根絶派の研究者の中には、上のように言う人がします。外来種が国内に入ると、多くは気候風土が合わず、絶滅します。しかし中には必死に生きようとし、アライグマやブラックバスなどのように、定着に成功するものもいます。 その外来種が将来どのようになるかは人間には分かりません。しかし一般的なパターンとしては、国内に入って一時期は爆発的に増加しますが、そのうちに日本の生態系に組みこまれ、落ち着くケースが殆どです。 確かにアライグマは、日本では人間以外に天敵はいません。しかし日本で明治時代に生態系の頂点にあったオオカミを絶滅させた後、キツネやタヌキが爆発的に増えたりしていません。自然界の中で、天敵がいないからと、動物がいつまでも無限に増え続けることはあり得ません。 × 外来種を根絶させれば日本の生態系が守れる? 外来種の生態系への影響は、実は殆ど分かっていません。今、奄美大島のアマミノクロウサギをマングースが駆逐すると言われていますが、マングースが放される以前から、林道の拡幅工事やトンネル工事などで、アマミノクロウサギの生息域は減り続けていました。現在も生息域がダム建設などで開発されています。マングース根絶に取り組むある大学の研究者も、「もしマングースを根絶できたとしても、アマミノクロウサギを保全できるとは限らない」と話しています。 外来種は生物なので、当然生態系に何らかの影響を与えます。しかし人間による自然破壊、環境汚染に比べれば、はるかに軽微なものがほとんどです。人間による自然の乱開発を止められない環境省が、外来種をスケープゴートにして責任逃れしようとしているとしか思えません。 × イギリスのヌートリア根絶成功事例が、日本の外来動物根絶に使える? 外来種の根絶成功事例としてよく出されるのがイギリスのヌートリアです。イギリスでは、80年代から90年代の10年間で、10億円かけてヌートリアを根絶させたと言われています。しかし、まだ一地域にしか拡散していなかったこと、たまたま200年に一度の大寒波が来て寒さに弱いヌートリアは大量死したこと、水系にしか生きられないことなど、たまたま偶然が重なって成功したそうです。この事業に携わったイギリスの研究者Mr Simon John Baker(UK Department for Enviroment, Food and Rural Affairs)は、「当時だったから成功した。アメリカミンクやヤマアラシなどは既に全土に拡散しており、また国民の動物保護の意識が高まっていることもあり、今では難しい」と話しています。 × 人畜共通感染症が恐ろしいから、外来動物は殺すべきだ? 外来種、在来種に限らず、野生動物ならみな寄生虫を持っています。例えば北米原産のアライグマには、アライグマ回虫が寄生しています。日本の野に生息するアライグマからは、まだ発見されていません。人間に寄生すると失明したり、脳に達すれば死に至ると言われています。しかし、アライグマ回虫に感染している個体のフンを直接食べたり、内臓を生で食べたりしなければ、人間に寄生することはありません。また回虫を持っているアライグマでも、駆虫薬で退治することができます。寄生虫を持っている動物を殺さねばならないのなら、野生動物はいなくなってしまいます。 環境省や研究者は、アライグマ根絶の世論を高めるために、いたずらに危険性を煽っているようにしか思えません。 ◇ 利害で動いている外来種根絶論者たち 研究者・捕獲業者の中には、自分たちの利益になるからという理由で、外来種根絶を声高に叫んでいる人たちが多くいます。自治体の外来種捕殺事業では、研究者・業者に多くの税金が流れています。例えば2005年9月に神奈川県で行われたアライグマ生息調査では、3週間オリを設置し、10数頭のアライグマを捕獲・解剖しました。ネコ、タヌキ、ハクビシン10数頭も錯誤捕獲されました。この事業に600万円が使われました。研究者の中には真面目な方もおられるかもしれませんが、中には自分達の仕事をとるために、必要以上に外来種悪玉論を唱えている人たちがたくさんいます。その証拠に、行政からの予算が付くまで、彼らは動こうとしません。 ● 外来種と共存するドイツ ドイツにも、アライグマをはじめ、外来種と呼ばれているさまざまな動物たちが長年棲んでいます。今更生息地に送り返すことも、全頭駆除することも到底不可能。また外来種だということで殺すのは残酷であるとして、研究者も多くの市民も、外来種と共存していくことを選んでいます。 |
||
| 【外来種問題に対する熊森見解】 【外来種対策の現状】 【外来動物根絶派の主張のまやかし】 topへもどる |