・「好きこそものの上手なれ」ということばもありますが、
　これを信じてはいけないと思います。
　ぼくだって、好きなものごとがあります。
　それについては、なかなかうるさいですし、
　それについて考えたり語ったりするのも、大好きです。
　しかし、ぜんぜん、ぜーんぜん！　上手じゃない！
　なんのことを言っているのか、
　明らかにするのもはばかられるほど、上手じゃないです。
　否、へたです、へた以下です、どうしょうもないです。
　好きなのは事実ですが、へたはそれ以上に事実です。

　好きだから上手、じゃぁないんですよね。
　そういえば、昔、さる名物社長と話しているとき、
　「やっぱり、（事業が）お好きなんですねぇ‥‥」
　と言いましたら、
　「好きなんやない。得意なだけなんや」と、
　即座にまじめな表情で答えました。
　「事業なんかを、好きでやられたら困る。
　　おおぜいの人を不幸にしますからね。
　　ぼくは好きやないです。得意やったんですわ」、
　あの真剣で掛け値なしの言い方が忘れられません。
　
　ただ、世の中というものは、
　「好きで、一所懸命でやっている」と思いたがるもので、
　好きじゃないのに、なにかの仕事をやっているなんて、
　公言するのは、けっこう挑発的な態度に
　見られちゃうんですよね。

　歌や踊りで人々を魅了するアイドルや、
　おおくの人々を笑いの渦に巻き込む芸人さんが、
　「好きではないですけど、得意なんでやってます」と、
　いくら本心から真顔で言ったとしても、
　マスコミや社会から、さんざん非難されるでしょうねー。
　
　だけど、好きだからいいってことは、
　ほんとにないんです。
　だから、「好きこそものの上手なれ」よりも、
　「へたの横好き」のほうが、当たっているくらいです。
　今日、ここでぼくが書いていることは、
　ものすごく切羽詰まった、本心からのことです〜〜〜。

今日も、「ほぼ日」に来てくれて、ありがとうございます。
一日を笑顔で終れますように、あなたも、ぼくも。