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【発明の名称】 引込用腕具
【発明者】 【氏名】山内 隆生

【要約】 【課題】本発明は、取り付け強度を増加させ、外観の悪化を防ぎ、複数の引込線を広範囲から家屋の一部に集約できるようにし、家屋の造営材の損傷を防ぐことを課題とする。

【解決手段】低圧架空引込線を家屋内に引き込むために該家屋に設置される引込用腕具1であって、三角形状を有し、所定の固定手段により家屋の軒天井に固定される家屋側固定部材2と、三角形状を有し、所定の固定手段により前記家屋側固定部材2に固定され、低圧架空引込線が巻回される碍子を係止する係止部10a,10b,10cを有する引込線係止部材3とを具備する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
低圧架空引込線を家屋内に引き込むために該家屋に設置される引込用腕具であって、
三角形状を有し、所定の固定手段により家屋の軒天井に固定される家屋側固定部材と、
三角形状を有し、所定の固定手段により前記家屋側固定部材に固定され、低圧架空引込線が巻回される碍子を係止する係止部を有する引込線係止部材と、
を具備することを特徴とする引込用腕具。
【請求項2】
前記係止部が複数設けられていることを特徴とする請求項1記載の引込用腕具。
【請求項3】
前記家屋側固定部材の前記引込線係止部材と当接する辺は、該引込線係止部材の当接する辺よりも幅が大きく形成され、該引込線係止部材は、該家屋側固定部材の当接する辺の前記軒天井から遠い部分に固定されることを特徴とする請求項1又は2記載の引込用腕具。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、低圧架空引込線を家屋等の建物内に引き込むために用いられる道具であって、建物側に設置するものに関する。
【背景技術】
【0002】
図4に示すように、電柱100から延びる電力線、電話線等の低圧架空引込線101は、分岐用の碍子102や、家屋側に設けられる所定の引込手段110を利用して、木107等の障害物を避けるように家屋105,106内に引き込まれる。
【0003】
図5に示すのは、前記引込手段110の一例であり、引込線101は、家屋106に固定された碍子115に係止され、所定のたるみをもって家屋106内に引き込まれる。この碍子115は、その一端側が、家屋106の造営材である破風板120にねじ等により固定された曲がりリング122と、被導電性の連結線123を介して連結し、他端側には前記引込線101が係止されている。この従来構造においては、前記曲がりリング122が、排水路として屋根の下部に設けられる軒樋124の上部を横切る形で設けられる。
【0004】
また、本発明と同様の利用分野における従来技術として、次のようなものが開示されている(特許文献1参照)。この従来技術は、横杆(1)の先部に連結部材(5)を介して縦杆(4)を取付けてあり、連結部材(5)は円形の対板(15)の裏面に舌片(18)を対板(15)に直立する状態で連接したもので、横杆(1)の先部側面に舌片(18)を回動可能に取付け、横杆(1)先部と舌片(18)とに幾つかの回動角で連通し得る通孔(9)と調整孔(17)を設けると共に、対板(15)の表面側に縦杆(4)中央部に付設した円板(13)を回動可能に取付け、円板(13)と対板(15)とに幾つかの回動角で連通し得る通孔(9)と調整孔(17)を設けるものである。
【特許文献1】実開昭64−12426号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記図5に示すような従来構造においては、曲がりリング122を破風板120に直接ねじ等により固定するため、強度の不足、外観の悪化等の問題がある。また、曲がりリング122は家屋106の壁面から延出するように設置されるため、家屋106の壁面の1面側からしか引込線34を引き込むことができず、その角度は最大でも180°である。更に、1つの曲がりリング122に多くのケーブルを係止することができないため、多くのケーブルを係止する場合にはケーブル毎に曲がりリング122を設置する必要があった。更にまた、曲がりリング122が軒樋124近傍の上部を横切ることにより、取付け作業が困難であると共に軒樋124や屋根を破損させる場合があった。また、上記特許文献1に開示される構造においても、破風板(6)に直線形状の横杆(1)を直接固定するため、強度の不足、外観の悪化等の問題があり、また構造の複雑さに伴い、コスト、強度等に問題があると思われる。
【0006】
そこで、本発明は、取り付け強度を増加させ、外観の悪化を防ぎ、引込線を広範囲から引き込めるようにし、複数の引込線を家屋の一部に集約できるようにし、家屋の造営材の損傷を防ぐことを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、低圧架空引込線を家屋内に引き込むために該家屋に設置される引込用腕具であって、三角形状を有し、所定の固定手段により家屋の軒天井に固定される家屋側固定部材と、三角形状を有し、所定の固定手段により前記家屋側固定部材に固定され、低圧架空引込線が巻回される碍子を係止する係止部を有する引込線係止部材とを具備することを特徴とするものである(請求項1)。
【0008】
この構造によれば、家屋側固定部材は軒天井の角部にあてがわれ、ねじ、ボルト等の固定手段により固定される。そして、引込線係止部材が家屋側固定部材に固定され、この引込線係止部材に設けられた係止部に非導電性のワイヤ等を介して碍子が固定され、この碍子に電柱からの引込線が巻回されて係止され、この引込線は所定のたるみをもって家屋内に引き込まれる。
【0009】
このように、家屋側固定部材が三角形状を有することにより、引込用腕具を軒天井の角部に強固に固定することが可能となり、引込線係止部材もまた三角形状を有することにより、引込線の張力が分散され、強度が向上する。また、引込用腕具を軒天井の角部に設置することにより、家屋の壁面の2面側から引込線を引き込むことができ、引込線を引き込むことができる角度は最大で270°となる。更に、外観を損なうことがなく、和洋を問わず、ほとんどの家の形状に適合することができる。
【0010】
また、上記請求項1記載の構成において、前記係止部が複数設けられていることが好ましい(請求項2)。
【0011】
これにより、電気、電話、インターネット等の様々な引込線を、1つの引込用腕具に集約することができる。
【0012】
また、上記請求項1又は2記載の構成において、図1(c)に示すように、前記家屋側固定部材2の前記引込線係止部材3と当接する辺5aは、該引込線係止部材3の当接する辺10aよりも幅が大きく形成され、該引込線係止部材3は、該家屋側固定部材2の当接する辺5aの前記軒天井から遠い部分に固定されることが好ましい(請求項2)。
【0013】
これにより、図1(b)に示すように、引込線係止部材3は家屋側固定部材2の下部側から延出され、図3に示すように、軒樋28の下方から引込線係止部材3を延出させることができる。これにより、軒樋28、屋根瓦26等の造営材の破損を防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、添付した図面を参照して本発明の実施例を説明する。図1(a),(b),(c)に示す本実施例に係る引込用腕具1は、家屋側固定部材2と引込線係止部材3とからなり、両者2,3とも上面視(図1(a)参照)三角形状になっている。家屋側固定部材2は、アルミ合金等からなり、枠部材5と三角板6とから構成される。枠部材5は二等辺部5a,5bと長辺部5cとからなり、これらによって二等辺三角形が形成される。三角板6は、前記二等辺部5a,5bの連結部に固定され、家屋側固定部材2の強度を増加させる効果を奏するものである。枠部材5及び三角板6には、直径7mm程度の孔7が複数穿設されており、家屋側固定部材2を家屋の造営材に固定させるためのねじ等の固定部材を挿通可能になされていると共に、二等辺部5bにも家屋側固定部材2を家屋の造営材に固定させるためのボルト、ナット等からなる固定部材15が配置されている。また、矢印Aからみた図である図1(b)、及びB−B'断面図である図1(c)に示すように、二等辺部5aは、T字形状を有しており、ボルト、ナット等からなる固定部材14により後述する引込線係止部材3がこの二等辺部5aに固定されている。
【0015】
引込線係止部材3は、アルミ合金等からなり、3本の枠部材10a,10b,10cと、3つのリング部材11a,11b,11cとからなっている。前記家屋側固定部材2の二等辺部5aと当接する枠部材10aは、図1(c)に示すように、前記固定部材14により二等辺部5aに固定される。リング部材11a,11b,11cは、中央に穴16が穿設された金属からなる板状の部材であり、枠部材10bの外側の面に穴16の貫通方向が上下になるように溶接等により固定されている。
【0016】
上記構成の引込用腕具1は、図2及び図3に示すように、家屋20の軒天井22の角部に、その下方側から固定されて使用される。図2に示すように、家屋側固定部材2の枠部材5及び三角板6が軒天井22の角部にあてがわれ、孔7にねじ等をねじ込むと共に、固定部材15を軒天井22の側面にねじ込むことにより、軒天井22に家屋側固定部材2を固定する。この家屋側固定部材2には、引込線係止部材3が上述のように固定部材14により固定され、引込線係止部材3の枠部材10b及び10cが、屋根瓦26の下端部に配置される軒樋28の下方から延出される。そして、引込線係止部材3のリング部材11a,11b,11cに、非導電性のワイヤ23を介して碍子30が固定され、各碍子30に電柱からの引込線34が巻回されて係止され、この引込線34は碍子30以降は張力が緩和されて所定のたるみをもって家屋20内に引き込まれる。
【0017】
上記のように、本発明に係る引込用腕具1においては、家屋側固定部材2が三角形状を有していることにより、この家屋側固定部材2を軒天井22の下方側に十分な固定強度をもって固定することができ、また引込線係止部3が三角形状を有していることにより、引込線34の張力を効率的に分散されることができる。また、引込用腕具1が家屋(軒天井22)の角部に設置されることにより、270°の広い角度から引込線34を引き込むことができる。更に、引込線係止部3に複数のリング部材11a,11b,11cが設けられていることにより、家の角に電気、電話、インターネット等の全ての引込線34を集約することができ、外観を損なうこともない。更にまた、引込線34を係止する引込線係止部材3を、軒樋28の下方から延出させることができるので、軒樋28や屋根瓦26を破損させる恐れがなく、設置作業も簡便となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1(a)は、本発明に係る引込用腕具の上面図であり、図1(b)は、同引込用腕具の矢印A方向からの正面図であり、図1(c)は、同引込用腕具のB−B'断面図である。
【図2】図2は、引込用腕具を軒天井に設置した時の状態を示す下面図である。
【図3】図3は、引込用腕具を軒天井に設置した時の状態を示す側面図である。
【図4】図4は、引込線を家屋に引き込んだ状態の一例を示す図である。
【図5】図5は、家屋に設置される従来の引込手段の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0019】
1 引込用腕具
2 家屋側固定部材
3 引込線係止部材
5 枠部材
6 三角板
7 孔
10a,10b,10c 枠部材
11a,11b,11c リング部材
14,15 固定部材
20 家屋
22 軒天井
26 屋根瓦
28 軒樋
30 碍子











【出願人】 【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
【出願日】 平成17年10月21日(2005.10.21)
【代理人】 【識別番号】100069073
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 和保

【識別番号】100102613
【弁理士】
【氏名又は名称】小竹 秋人


【公開番号】 特開2007−116841(P2007−116841A)
【公開日】 平成19年5月10日(2007.5.10)
【出願番号】 特願2005−306497(P2005−306497)