ハングル普及:「優越感ではなく相互主義でアプローチ」
海外普及で先頭に立つイ・ホヨン、金周源両教授
「ハングルを海外に普及させるのは、すべての国語(韓国語)学者や言語学者の夢です。今ようやく緒に就いたところです」
「ハングルの海外普及」への第一歩を踏み出したソウル大言語学科教授で訓民正音学会長を務めるイ・ホヨン教授は、興奮した表情を見せていた。2007年7月に70人余りの国語学者や言語学者によって作られた同学会はこれまで、中国、ネパール、タイなどでハングルを普及しようとして失敗した原因を徹底的に分析してきた。その結果、言語学的な分析をしないまま、他言語をそのままハングルで表記しようとしたこと、現地の人々とのコミュニケーションを行わず、文字だけを普及しようとしたことが原因との結論に達した。
こうした失敗を繰り返さないために、普及対象の選定から慎重を期した。7月にハングルで書かれた教材「バハサ・チアチア1」を出版したソウル大言語学科のイ・ホヨン教授(46)は、「ハングルの普及対象を初めから東南アジアと南太平洋にしぼっていた」と語った。ハングルを使いやすい発音を持ち、中央政府の統制が比較的緩い上に、韓流ブームに沸いているとの理由による。
インドネシアの少数民族、チアチア族を最終的な普及対象としたのは昨年6月だった。韓国外国語大教授で同学会副会長を務める全泰鉉(チョン・テヒョン)教授(マレー・インドネシア語通訳翻訳学)が推薦した。彼らが使用するチアチア語は文字がないため、今後50年で消滅するかもしれないという危機にさらされている。ハングルの普及のためにチアチア語の発音を分析した同学会は、15世紀に姿を消した文字と発音を復活させて使用することにした。金教授は「現地の人々に対し謙虚な姿勢で臨んだ」と語る。ハングルの優秀性を強調し、文字を教えてやるといった恩着せがましい態度ではいけないというわけだ。さらに金教授は、「プライドのない民族はない。対等な立場でコミュニケーションをするという相互主義的視点でアプローチすべき」と語る。昨年7月、同学会とインドネシア・スラウェシ州ブトゥン島のバウバウ市の間で結ばれた了解覚書には、ハングルを媒介として相互の文化交流を図るとの内容が盛り込まれた。
ハングル版チアチア語教科書が出版され、授業が始められたが、いまだに道のりは遠いという。金教授は「これから店の看板表記や公文書作製といった日常生活でハングルがどれだけ使われるようになるのかがカギ」と語る。
同学会では、現地に一人しかいないハングルの教師を増やし、教材もレベルごとに作成するという。9月には「訓民正音文化センター」を建設し、韓国文化普及の中心地とする予定だ。金教授は「依然として手放しで喜べる状態ではない」ことを強調した。今まさに始まったばかりといえる。
- ハングルで書かれたチアチア語の教科書を広げながら、ソウル大言語学科のイ・ホヨン教授(左)が同学科の金周源(キム・ジュウォン)教授と笑顔を浮かべている。/写真=パク・トンジュ・インターン記者(中央大写真学科3年)
パク・スンチャン記者
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