
 映画、ドラマ、舞台と幅広い分野で活躍する俳優・岸谷五朗の映画初監督作「キラー・ヴァージンロード」。豪華俳優陣がカメオ出演していることでも話題の本作。岸谷監督が映画の見どころや、自身の映画人生について語った。
芝居が難しいおかげで、
役者にハマりましたね
高校3年の時に役者を志しました。今思うと「役者になって頑張ろう」とかじゃなくて、「あっ、役者だった」って何かが降りてきたような感じで。僕は舞台演劇をやるつもりで役者になったんです。当時、第2次小劇団ブームというのがあって、僕が入った「スーパー・エキセントリック・シアター」は100人ぐらい受けて、3人しか受からなかったんですが、一向に役がつかなくて。芝居が難しすぎて、一瞬出てくるような役しかつかなかったんです。でも、そのおかげで役者にハマりましたね。そこで簡単に芝居ができていたら辞めていたかもしれません。役がもらえない5年間は全く苦じゃなかったです。僕は一番素晴らしいのは演劇の世界だと思っていたんですが、「月はどっちに出ている」(93年)で映画に初主演して、この作品で崔洋一監督に「映画って面白いだろ!」って突きつけられたような感じでしたね。
初めて映画の企画を立てたのは、「私たちが好きだったこと」(97年)です。自分も出ているんですけど、宮本輝さんの原作で、松岡錠司さんが監督で野沢尚さんに脚本を書いていただいて、本当に素敵な作品でした。この作品は、原作に出会った時に「これは映画にしないと」って思ったんですよね。変な言い方ですけど、いろんな枝葉がある作品で、それが大きな魅力に感じたんです。
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作品のテーマは
「全く飽きない1時間40分」
「キラー・ヴァージンロード」は、ちょっと振り切ってみようと思って。躊躇したらダメだったんですよね。「地球ゴージャス」にも参加してくれている北村一輝や高島礼子さんたちも楽しんで参加してくれて、本当に大きな祭りみたいでした。主演の木村佳乃は、彼女が10代だったころにドラマで共演していて。その時は本当にピカピカで、“右も左も分からないけど、光るものがある”という感じでした。それから10数年が経って、彼女はたくさんの役をこなして、自分で苦労して勉強してきた役者の重さを備えていますね。上野樹里は本当にすごい才能を持っていて、役を自分の中で消化して演じると、普段の彼女が持っている魅力と全然違う何十倍もの魅力になってせりふが始まる。特別な力を持っている女優ですね。
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PROFILE
●きしたに・ごろう…1964年9月27日生まれ。東京都出身。大学在学中に劇団「スーパー・エキセントリック・シアター」に入団。93年、映画「月はどっちに出ている」に主演して数多くの映画賞を受賞。94年に退団後、寺脇康文と企画ユニット「地球ゴージャス」を結成。以後、テレビドラマ、映画、舞台と幅広く活躍中。 |
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この映画のテーマは「全く飽きない1時間40分を作ろう」なんです。だから、いろんなところでいろんな役者さんに出てもらっているのも、お客さんが飽きずにこのエンターテインメントをずっと見ていられるかというのを1番に考えた撮り方をしているんです。普段主役をやっているような力のある方たちは、少しでも出ると輝くわけです。それは映画にとって観客を飽きさせない1つの要素でもあるので、今回はいろんな人にいろんなところで出てもらいました。油断して「バカだな、この映画」って笑って見ていたら、最後にちょっと泣いてるっていう映画なんです。1時間40分走り抜けて見終わった後、「ちょっと明日も頑張ってみようかな」って思える映画になっていると思います。
「キラー・ヴァージンロード」
9月12日(土)より全国東宝系でロードショー

〔監〕〔脚〕岸谷五朗
〔出〕上野樹里 木村佳乃 寺脇康文 眞木大輔 小出恵介 田中圭 中尾明慶 高島礼子 北村一輝 北村総一朗ほか
幅広いジャンルで活躍する岸谷五朗の初監督作品。結婚式前日、アパートの大家を誤って殺害してしまうという人生最悪のドジをやらかしたOLのひろ子(上野)は、死体を隠そうと車を走らせる。そんなひろ子の前に、“死にたい女”福子(木村)が現れて、ある交換条件を持ちかけるが…。
(C)2009「キラー・ヴァージンロード」製作委員会 |
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