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歌を忘れたカナリア、或いはカナリアだったものの叫び

投稿者：溝呂木(仮名) 投稿日：2009年 8月 7日(金)23時50分51秒

　グフ氏の傑作に何ともけったいな蛇足を書いて汚してしまったが、二流の男の三流な落書きだと笑って許して欲しい。　最終話は見事なまでに傑作だと絶賛してもまだ足りない。前半、加持の部分だけで終わらせても物語として体裁は取れている。ここで切ったとしても傑作の名には値するだろう。　が、後半、藤木シンジのパート、結局はみさとさんを振り切れなかったってエンディングが大事なんだ。　ここがグフ氏の真骨頂だ。　と、同時に氷の塊を飲み込んだような読後感が俺を襲った。　オンザロックの氷を間違って飲み込んだんじゃない。隠していたものを見抜かれた気がしたからだ。　告白しよう。　今こうやって感想BBSに書き込んでる最中も、奴は俺をあっち側に引き込もうと暗がりから伺ってるんだ。　ここの住人は胸の大きな女に獲り付かれてるのとか、赤い少女に執着してる奴が多いようだが、俺を狙うそいつは日本刀を振り回す14歳の少年の姿をしている。　万儀、或いはマンギーという男は糾弾者であると同時に警告者であって、現在進行形で逃亡者でもあるんだ。　だから藤木シンジの末路に慄いた。　唐突だが俺はＴにひとつだけ感謝してる。　こちら側から嬉々としてあちら側へのデッドラインを越えるとどうなるか、俺の目の前でそれを示してくれたお陰で、俺はあちら側の醜悪さと程度の低さに嫌悪を覚え、結果として今の俺がある。反面教師としては感謝してる。　糾弾、警告、或いはドンキホーテの戯言と受け取っても構わないが、とにかく俺のような怯えを抱えた人生を送らないよう、何度も繰り返して言わせて貰う。　デッドラインは決して本人には見えない。　さて、グフ氏のおねえさんといっしょうの感想に戻るが、正直、俺程度では気の利いた事が言えない。　これはエヴァ、そしてエヴァ二次創作、そしてそれを批評する掲示板すら含めたメタフィクションをも巻き込んだ、一代の傑作と褒めちぎる辺りが俺の表現できる限界だろう。　これほどの興奮はリアルタイムで「どくしょ☆にっき」を読んで以来だ。　グフ氏以前にここまでやった者は居ないし、グフ氏以後に似たような事をやっても、よほどのプラスアルファが描けない限り、それは模倣でしかない。　ああ、模倣で思い出した。　ここから先はいつもの付録だからグフ氏への感想とは関係がない。　ここでちょくちょく見かけるが、あんまり、参考にしましただとか影響を受けましたとか言って模倣を正当化するんじゃない。そこだけ文章や台詞がグンと違って、まるで金魚鉢の中の鮫みたいに目立ってたとしたら、そいつは一般にパクリって呼ばれて蔑まれる対象なんだ。ここはそうじゃないみたいだが、大抵のサイトじゃ良くて笑い者、悪くてパクリ野朗と呼ばれてケツ蹴っ飛ばされて相手にもされなくなる。　ちょいと本音が出たが、良いだろう？　目を閉じ耳を塞いでいれば、嫌な異邦人は何処かへ消えるんだし。そうしたらまた皆でおねえさんで遊べば良い。彼女はとっても優しいから、ずっと待っていてくれてるよ。　異人の俺は、薄給やりくりして買った安スコッチ、最後の意地で国産じゃないやつを舐めながらその光景を眺めていよう。もう、俺はそっちに加われないしね。　ちょっと寂しいのかも知れないが仕方ない。　産婦人科の廊下で「モンキーダンスだっ、カモォン！」と叫んだ瞬間、俺はこちら側を断ち切れなくなった。　って、俺、そんな事言ったのかなぁ？彼女はそう証言してるが。　うん、感想が遅れた原因はこれなんだ。俺にはこれから、あれほど愛し尊敬していた父と、赤子を巡っての最終決戦が待っている。向こうは息子の教育に失敗したのを孫で挽回する気らしい。　そうそう、ネタばらしと言うか、俺が菓子折りにタイトルでトラップ（D.J.Fitton氏の名前とグルジア語）仕掛けたのは、父や父の同期にとって聞き捨てならない法螺を吹いたからなんだ。　俺だって法螺は吹くさ。でもね、それは酒の席での法螺、ネタばらしとセットで笑いを呼ぶ為の法螺さ。だが奴のは違う。些細な自己満足の為に程度の低い嘘を吐いては、周囲を不愉快にさせる。　もっとも、本人は信じて貰う為に吐いてるんじゃない。そう書き込んだ瞬間、奴の脳内じゃ自分が本当に傭兵になってるんだ。だから周囲がどう受け取ろうとお構いなし。吹いたら吹きっぱなしだから始末が悪い。　まぁ、これに懲りたらもう二度と、エージェントだとか傭兵だとかの法螺は控えるんだな。　ネットは広いんだ。たまたま天文学的な確率で関係者の知人やその息子に出会う可能性はゼロじゃないし、その息子が侮辱されたと感じて逆襲する可能性もゼロじゃない。　あ、不用意に公使の名前に反応する訳に行かないから沈黙した、とか言い訳してみる？今更だろ、散々ベラベラうたっといて。俺が勤めてたしょぼい会社にだって守秘義務くらいあったってのに、そんなの何処吹く風でグルジア紛争だのイラク人質事件だのと出るわ出るわ。ムスカ大佐じゃないが、君のアホ面には心底ウンザリさせられる。　うん、もう時間のようだね。俺は帰るよ。帰るべき処へ。「おねえさんといっしょう」は、ながちゃんが好きという、いわくつきの場所で公開されたからこそ、メタフィクションすら内包した傑作となったんだろう。他で公開されたとしても充分傑作だけどね。　じゃあ、また何時か、何処かで。　グフ氏に、ありがとう。　三匹達に、さようなら。　そして、全ての読者達におめでとう。

万儀コウタロウの末路或いは吐露、そして

投稿者：溝呂木(仮名) 投稿日：2009年 8月 7日(金)20時32分39秒