きょうのコラム「時鐘」 2009年8月7日

 北陸初見参という滋賀・彦根の人気マスコット「ひこにゃん」を見てきた。子どもみたいだが、関連グッズが年に10億円を稼ぐとあっては、放ってはおけない

「ゆるキャラ」の代表選手である。のんびりした顔の2等身。ゆるゆるのキャラクターは、見る者の心を緩ませる。大金を稼ぐ理由も、分かるような分からないような。判断力まで、ゆるゆるになる

北陸の「ゆるキャラ」で有名なのが、2代加賀藩主がモデルの高岡の「利長くん」。工事中の駅にも登場し、「ご迷惑をおかけします」と、客にぺこりと頭を下げている。殿様にお辞儀をされて、不機嫌な顔はできない。観光客だけに愛きょうを振りまいていないのがうれしい

当地の武家文化を自慢するために、利長くんの仲間が増えてほしいと思う。こんな遊び心は、街に新たな彩りを加える。モデルになる殿様や姫君には事欠かぬ

先ごろ、ひこにゃんのそっくりさん騒ぎが報じられた。著作権と商標権で、作者と行政がもめている。せちがらい世の中である。だから、「ゆるキャラ」がもてる。皮肉なことに、騒動の主人公がそう教えてくれる。