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日本で認められた韓国の漆芸家(下)

 「鮭は4-5年もの間、海を回遊し、故郷の川へ帰って一生を終える。そしてその体は子どもたちの栄養分になる。これは生き物の本性であり、わたし自身の念願だ」。目黒雅叙園の改築から18年、岩山漆芸美術館のオープンから5年がたっていた。

 権哲賢(クォン・チョルヒョン)駐日韓国大使は再オープン記念式典の祝辞で、「長い道のりをたどった理由」について、「韓日両国の文化の神髄を感じることができたためだ」と語った。記念式典の直後、館内を見て回っていた権大使に感想を尋ねたところ、「人は価値を認めてくれるところで生涯を終えるものだ。最後は(韓国に)連れて行かねばならない。われわれが価値を認めなければならない」と述べた。

 全館長は『帰郷』のほか、18点の作品を新たに披露し、これまでの作品と合わせ約150点を展示した。また、最高で5250万円という高値が付き完売した腕時計(セイコーウオッチとの共同作品)の写真や、漆によって新たな音色を出すのに成功した楽器なども展示している。入館客のサキヤマ・タカユキさん(41)は、「漆と楽器という新たなコンセプトに魅かれて美術館を訪れた」と話した。

 この日の入館客の多くは、「ヨン様」ことペ・ヨンジュンのファンたちだった。青森県から来たエガワ・マサコさん(52)は、「全先生の本で、ヨン様がここに泊まり込んでいたことを知った」と話した。ペ・ヨンジュンは今年2月、1週間にわたって美術館に泊まり込み、全館長から漆芸を学んだ。現在、ペ・ヨンジュンは名誉館長になっている。再オープン記念式典では、ペ・ヨンジュンが送ったお祝いのビデオレターが公開され、会場からは「ワー!」と歓声が上がった。また1点だけだが、作品も展示された。横2メートル、縦0.8メートルの『愛』という作品だが、本人は「練習作品にすぎず、満足していない」と話しているという。

 「漆は悠久な歴史を背景とし、精神的な芸術性から、肉体的な健康にまで作用する、さまざまな能力を持っている。この漆の能力をいかなる形であれ、世に知らしめることがわたしの人生の使命だ」。全館長は笑いながら、「わたしは薬売りだね」と話した。

今月1日に再オープンした岩手県盛岡市の「岩山漆芸美術館」に、日本全国から約600人もの人々が集まり、大盛況を呈した。/写真=鮮于鉦(ソンウ・ジョン)特派員(盛岡)

盛岡=鮮于鉦(ソンウ・ジョン)特派員

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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