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下のバナーをそれぞれクリックしてください秋葉忠利広島市長は6月10日の記者会見で、"Obama"と"majority"をくっつけた造語「オバマジョリティー」キャンペーンを発表した。
プラハで「核兵器を初めて使用した国」として核廃絶を表明したオバマ米大統領とそれを支持する人が多数派だというのがこの造語の意味である。
いま広島市は市長を先頭に市職員が一丸となってこのキャンペーンに取り組んでいる。だがこの「オバマジョリティー」にちょっと待てよ、と懐疑的な声も聞こえてくる。
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http://news.rcc.jp/?i=OTMwNA==aオバマジョリティーを問う(RCCニュース 中国放送)(画像クリックでニュース映像へ)広島市の秋葉市長は、核兵器の廃絶を目指すアメリカのオバマ大統領を支持することを表明し、オバマジョリティー・キャンペーンを推進しています。被爆地広島がアメリカの大統領との連帯を求めることについて、平和問題の専門家からは、広島の主体的な主張を弱めることにつながると懸念する声もでています。
原爆被害の資料を展示した広島市の原爆資料館。そのなかにある売店で、市がつくったTシャツが売り出されています。
「オバマジョリティー」とは、アメリカの大統領の名前「オバマ」と、多数派を意味する「マジョリティー」を組み合わせた造語です。
「アメリカには、唯一の核兵器使用国として、行動する道義的責任がある。アメリカは『核兵器のない世界』の安全と平和を追求すると、確信を持って表明する」(アメリカ オバマ大統領)
オバマ大統領は、今年4月、プラハでの演説で、「核兵器のない世界」を目指すと宣言しました。
広島市の秋葉市長は、「オバマジョリティー」という言葉は、オバマ大統領に賛同する世界の多数派を示していると説明しています。
「私たちには、オバマ大統領を支持し、核兵器廃絶のために活動する責任があります。この点を強調するため、世界の多数派である私たち自身を『オバマジョリティー』と呼び、力を合わせて2020年までに核兵器の廃絶を実現しようと世界に呼び掛けます。力を合わせれば核兵器は廃絶できます。絶対にできます」(平和宣言 秋葉忠利広島市長)
広島市は、「オバマジョリティー・キャンペーン」を展開中です。市長の会見場にPRパネルを設置したほか、ウェブサイトやPRソングもつくることにしています。
「平和公園に、こうしたオバマ大統領の記念撮影用のパネルを設置し、ここで撮った写真を大統領に贈って、広島訪問を呼びかけるという案も出ています」(伊藤文キャスター)
「オバマさんにぜひ広島に来てほしい。そして、資料館の見学はもちろんのこと、被爆者に皆会って下さいと」(広島県被団協 坪井直理事長)
「今、世界にある核兵器の数だけ折り鶴を折ってもらって集めて、オバマさんに贈ろうという計画をしています」(中高生のグループ)
オバマ大統領が卒業したハワイのプナホウ・スクールからは、2人の生徒が広島を訪れ、核廃絶を求める署名活動に参加しました。
「(オバマジョリティー・キャンペーンは)賢いやり方。アメリカと日本を一つにする」(プナホウ・スクール ケイラ・ムラタさん)
「(オバマ大統領は)広島の大勢の人々に希望をもたらした」(プナホウ・スクール ケビン・チャンさん)
前のブッシュ政権の時代、イラク戦争で劣化ウラン弾を使い、小型核の開発を目指したアメリカ―。一国主義的な政策は、オバマ政権の誕生により大きく転換しました。
「歴代の大統領は自分らの(責任の)ことを一切言わなかったですね。(原爆投下を)肯定することばっかり言ってた。(オバマ大統領は)もう歴代の大統領と違いますから、ええ。この人だったら、1歩でも2歩でも前進していくんじゃないかというふうに思いますね」(漫画「はだしのゲン」の作者 中沢啓治さん)
しかし、原爆投下をめぐる日米間の認識には、依然として隔たりがあります。
アメリカの大学が行った世論調査では、広島・長崎への原爆投下について、アメリカの有権者の61%が「正しかった」と回答。「間違っていた」と答えたのは、22%にとどまりました。
新聞記者として長く原爆報道に携わり、広島市長を務めた平岡敬さんは、オバマ大統領はプラハでの演説の中で、原爆投下の責任については認めていないと指摘しています。
「なんと言ったかね、あれは、THE UNITED STATES HAS A MORAL RESPONSIBILITY TO ACT.行動に対する道義的責任っていう。ですから結局彼は認めていない」(平岡敬前広島市長)
平岡さんは、原爆投下の責任が明らかにされなければ、核兵器が使われる可能性があると警告しています。
「やっぱり僕は、謝らせなきゃいかんと思うんです。で、今、広島はですね、オバマに来てくれなこと言ってますね。来て何するんですか。ああいう、その広島のね、甘ったっるさってのを僕は嫌いなんですよ」(平岡敬前広島市長)
オバマ大統領は、プラハでの演説の中で、自分が生きている間に核兵器を廃絶することは不可能だという見通しを示し、「核兵器が存在する限り、アメリカは兵器を維持して敵に対する抑止力を保ち、同盟国の防衛を保証する」とも述べています。
「オバマっていうのはですね、核廃絶論と核抑止論の間の真ん中に立っててですね、ちょうど振り子の中心にいる、やじろべえみたいなもんで、どっちに行くかなあという状況だと思うんですよ。一番今求められていることは、核廃絶論の私たちの主張とか政策とか、そういうことを主体的に強める努力をするということであって、オバマ頼みっていうのはですね、むしろそういう努力に水を差す、私たちの主体的努力をも安易な楽観論でですね、弱めてしまうことすら懸念されるわけで」(広島市立大学広島平和研究所 浅井基文所長)
平和記念式典に出席した麻生総理は、日本が過去15年にわたり、国連総会に核廃絶決議を提出してきたと強調しました。
「私は、改めて日本が、今後も非核三原則を堅持し、核兵器の廃絶と恒久平和の実現に向けて国際社会の先頭に立っていくことをお誓い申し上げます」(麻生太郎首相・平和記念式典)
「そのアメリカの傘に依存する政策、これをまず論破、克服しないとですね、日本の核廃絶論がですね、国際的な説得力を持ち得ないという因果関係があると思うんですね。そういうその日本政府に対してですね、広島が何も物を申さないという現状はですね、やっぱり私は非常にどこか危ういものを感じるんです」(広島市立大学広島平和研究所 浅井基文所長)(8/6 19:40)
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