宮田文郎(アート・サプライ)
第9回
ヒゲで砂時計は作れるのか!?
私事で恐縮ではございますが、ヒゲが濃いため、朝と夜で顔の色が違うだとか、口の周りに砂鉄がついているだとか、たまに言われることがあります。
で、「砂鉄」という単語にピンと来てしまいました。毎日そり落としているヒゲの新たな使い道として、ロマンチックなものを作れるのではないか、と。そう、砂時計です。
もちろん、ヒゲ以外のものも含め、砂時計の砂の代わりになるものがあるのか、砂時計について学びつつ、試してみました。
砂鉄のようなヒゲを
砂時計の砂の代わりに!
サウナにいるときや紅茶をいれるときに時間を測ったり、インテリアとして部屋に飾ったり…。見ているだけで和んでくる砂時計。アレって砂以外のものを使っても、上の容器から下の容器へしっかりと流れ落ちていくのでしょうか。
さっそく、いろんな砂の代わりの素材とともに、容器になるペットボトルや瓶を用意して試してみました。その結果は…。
ヒゲ…10日間かき集めたものを15mlほどのボトルで試してみましたが、詰まってしまいました。残念。ヒゲ時計は一瞬であっけなく止まってしまいました。
小麦粉…お酒の瓶に入れて落としてみると、うーん、すぐに詰まってしまいました。失敗です。
ゴマ…40mlのプラスチックボトルで試してみたところ、下のボトルへ見事に落下。約3秒間ですが…。ゴマ時計は成功です。
塩…粗塩を40mlのプラスチックボトルに入れて落としてみたところ、詰まってしまい失敗。そこで、煎ってから再び試してみると、見事に落下。約3秒ではありましたが、塩時計の誕生です。煎った分だけ色がついて見た目も美しくなっています。
ビーズ…40mlのプラスチックボトルでは少し詰まってしまい、完全には落ちませんでしたが、穴が大きいペットボトルでは、しっかり落ちていきました。約5秒、「シャーッ」という大きな音とともに…。
以上、ビーズとゴマ、煎った塩が、時間はとても短いものの、砂時計のように落ちていきました。成功と失敗を分けたものは何なのでしょうか。日本で数少ない砂時計職人である金子硝子工芸の金子實さんに伺いました。
「砂時計の砂のように均一の量を落とし続けるには、粒状のもので大きさがある程度整っている必要があります。粒が丸いほどスムーズに流れ落ちやすく、極端な話をすれば、ビー玉でも大丈夫なんです。ただ、小麦粉やきな粉のように粒が細かすぎるものは目詰まりを起こすのでダメです。容器にくっついてしまい、中が見えなくなる恐れもあります。ヒゲは脂分で容器にくっつくでしょうし、形も棒状でしょうから詰まってしまいますね」
なるほど。たしかに、ヒゲは容器にくっついて汚い見た目に…。また、細かすぎる粉も無理なんですね。ところで、塩は煎ったものは落ちたんですが、これはなぜでしょう。
「湿っていると詰まってしまうんです。湿気を除いたサラサラした塩なら落ちるでしょう。砂時計の砂も、湿気は禁物です。雨の日は湿気を吸い込んでしまうので、容器に入れる作業はしないんですよ」
塩は煎った分、湿気が減って粒同士がくっつかずに落ちるようになったというわけですね。ところで、ビーズやゴマは下に落ちたとはいえ、あまりにも短い時間で落ちてしまいました。でも、落とす穴が小さいと落ちなかったりもします。それはなぜなんでしょうか。
「砂時計は、中のものを上から下に落とす穴の大きさが重要なんです。砂の種類にもよりますが、砂の粒子と穴の比率が1対6以上なら間違いなく落ち、それより穴が小さいと目詰まりを起こしてしまいます。逆に穴の大きさを広げれば、早く落ちるんです。砂時計の砂は、ピンからキリまでありますが、だいたい 0.1〜0.2mmぐらいの大きさで、0.8〜1mmぐらいの穴に設定しています」
砂時計の穴ってそんなに小さかったとは…。ビーズやゴマは穴を通ることすら不可能ですね。
「そうですね。ビーズやゴマのような粒の大きなものだと、落とすのに必要な穴のサイズは大きくなるし、長い時間落としたいなら容器もかなり大きなものが必要ですよ」
中に入れるもの以前に、容器の工夫が必要なんですね。このあと、ビーズを入れているペットボトルの穴をビーズとの比率が1対6になるぐらいまで小さくして試したところ、なんとか15秒ほどのタイムまで延ばすことに成功。が、これ以上時間を延ばすため(たとえば3分計にするとか)には、もっと大きな容器が必要です。そんな大きな容器に入れるには、いったいビーズやゴマがどれだけの量必要なのか気が遠くなってしまいました。
ヒゲ 代用品 日時計 砂時計 キッチンタイマー | |
第9回 ヒゲで砂時計は作れるのか!?[前編]のページトップへ
第9回 ヒゲで砂時計は作れるのか!?
この記事への投稿受付は終了しました。
宮田文郎(アート・サプライ)
ユルいものからあまりユルくないものまで、ある程度何でもこなす三十路の編集者兼ライター。「覇気なし」「甲斐性なし」「人望なし」とよく誤解されるが、実は貯金も免許もない。所属する編集プロダクション"アート・サプライ"まで徒歩で通うエコな一面も。
(掲載日 2009.03.16)
男27歳・結婚ってどうよ?
第9回 新郎が知っておきたい「指輪」の謎
マジで給料3カ月分? 婚約指輪と結婚指輪ってどちらか1つじゃダメ? こんな指輪の疑問を徹底リサーチ!
(掲載日 2009.07.31)
最近、ネットで話題になった“何歳まで女子って言えるの?”問題。反対に、一体何歳くらいまでなら“男子”といってもOKなのでしょう? 丸の内OLさんたちに直撃してみました!