「よくぞ故郷で重圧に打ち勝った」「ここから一気に4連勝だ」。将棋の第50期王位戦7番勝負(西日本新聞社主催、佐世保市後援)第4局で、3連敗で後がない深浦康市王位が木村1基八段に一矢を報いた5日、対局場となった同市のホテル万松楼で、大盤解説に駆けつけた約80人の地元将棋ファンから歓声と拍手がわき起こった。
深浦王位を子どものときから知る日本将棋連盟佐世保支部の松山秀樹支部長は「佐世保や九州の深浦として、次も頑張ってほしい」と活を入れた。大村市の金泉浩司さん(55)も「地元で4連敗できないプレッシャーの中で勝つ精神力はすごい」と褒めたたえた。佐々町の佐々中3年古川真也君(15)は「負けたら終わりだったので、対局前から気になって仕方なかった。勝って良かった」と喜んだ。
約1.5メートル四方の大型将棋盤が設置された大盤解説会場では、豊川孝弘七段が解説担当に、笠井友貴女流アマが聞き手になり、駒を動かしながら説明。「深浦王位のこれまでの3戦は内容がないようだった」など冗談を連発する豊川七段に対し、笠井アマは「何を言っているんですか」と受け流し、会場の笑いを誘っていた。絶妙のコンビは対局の終盤で、攻勢をかける深浦王位の指し手を幾通りも紹介した。
午後5時15分ごろ、対局を終えた和服姿の深浦王位と木村八段が会場に現れると、将棋ファンは拍手で出迎え、両者の熱戦をねぎらった。壇上で対局を振り返りながら、深浦王位は終始、笑顔だった。
=2009/08/06付 西日本新聞朝刊=