« サマー魚津 | トップページ

アニメとストーリー(サマーウォーズネタバレ注意)

 サマーウォーズはアニメ脚本の典型的な失敗例だと思ってます。

ストーリーのために、必然がゆがめられている。

 これに付きます。基本的な内容は、夏休み旧家で世界的な騒動に巻き込まれる。といったもの。 これを各個の視点でストーリーを語ると

「夏休みに、美人の先輩のうちにバイトに行ったら、嘘彼氏でびっくり。そしたらたまたまOZのハッキングAI事件があって、(中略)最後は運良く暗算で正解しちゃった」(主人公)

「夏休みに、おばあちゃん騙そうと思って、適当な偽彼氏連れて行ったら、たまたま数学オリンピック級のスキル持ってたの。眼中になかったけど、泣いてるときに手を握らせたのよ。ちょっといいかなー」(ヒロイン)

「俺、超ゲーマーなんだけど親戚うぜえ。ばあちゃんの誕生会連れていかれたらOZ騒動があって、たまたまアクセス出来る人間がそこにいたんだよ」(ゲーマー)

「いやー、僕。なんでも乗っ取れてゲーム大好きなんすけど、たまたま花札だけは負けちゃったんすよ」(おでかけAI)

 最悪なのは90歳のおばあちゃん。 ポックリ行く布石は、 ・事前に伏せっている・興奮して倒れ込んでいる。で良いにしても初登場以来ですね

・目の前で挙動不審な行動をしている男を、彼氏だと認定。 仮に嘘だと見抜いていても、挨拶しちゃった以上正式なものになる。(要はもうボケている)

・その嘘彼氏を当人の意思確認もなく、くっつけようとする。

・長男の妾の子を引き取って大事に育てたわりには、財産持ち逃げされる。

・長男の妾の子を殺そうとして失敗。でも帰ってきたら迎えてあげてとか書き残してる行動不一致。

・なんか起こってる事件をいきなり「戦争」認定。

・自分がなんとかできると妄想行動。

・災害対策で忙しい中に電話をかけまくり。

・最終的には一家のアバター集めぐらいにしか役に立っていない。

 要するに登場人物の動きがストーリーに合わせているだけで、必然の行動ではないのです。

 アニメのシナリオがよく陥りがちなことですが、サマーウォーズは特段ひどい。昔のアニメの方が面白かったとか言う人がいますが、多分その面白いと思ったアニメは、登場人物の行動原理が丹念に描かれているものだと思います。

 「時をかける少女」はたまたま時間移動に巻き込まれたヒロインが、最後には友達と別れざるを得なくなるという、「決定事項」に振り回されてる訳ですが、やはり感情面行動面がちゃんと書かれているから、見ていて気持ちよくスッキリ終わるわけです。

 不自然な内容であっても、最後にサッパリ合致させるのがいい映画というもので、雰囲気だけでは、どうにもならないと思うのです。

|

« サマー魚津 | トップページ

アニメ・コミック」カテゴリの記事