被爆地・ヒロシマは6日、64回目の「原爆の日」を迎えた。秋葉忠利・広島市長は平和宣言で、原爆投下国の「道義的責任」として核廃絶を目指すと宣言したオバマ米大統領への支持を表明し、「Together,We can abolish nuclear weapons. Yes,we can(力を合わせれば核兵器は廃絶できます。絶対にできます)」と世界に英語で呼びかけた。平和宣言で英語を使ったのは初めて。麻生太郎首相は同日、原爆症認定集団訴訟の解決策を発表した。
広島市中区の平和記念公園で午前8時から催された平和記念式典には、核保有国のロシアを含む過去最多の59カ国の駐日大使、総領事らが参列した。
秋葉市長は自らが会長を務め、核廃絶などを掲げる「平和市長会議」への世界の加盟都市数が3000を超えたことなどを踏まえ、核兵器廃絶は世界の大多数の市民や国々の声だと強調。多数派の自らを「オバマジョリティー」と呼び、2020年までの核兵器全廃を目指そうと改めて訴えた。一方で、今年5月に北朝鮮が再び核実験を強行するなど核拡散への懸念が強まっており、来年開かれる核拡散防止条約(NPT)再検討会議への取り組み強化も誓った。
被爆者の援護策については、約6年続いた原爆症認定集団訴訟で被爆者側が19連勝した司法判断を例示。「『黒い雨降雨地域』や海外の被爆者も含め高齢化した被爆者の実態に即した援護策の充実」を求めた。
式典で、秋葉市長と遺族代表2人が、この1年間に死亡、または死亡が確認された広島の被爆者5635人の名簿2冊を原爆慰霊碑下の奉安箱に納めた。原爆死没者名簿は計95冊、死没者数は計26万3945人になった。
麻生首相、田上富久・長崎市長らが献花。原爆投下時刻の午前8時15分、参列者は1分間の黙とうをささげた。こども代表として小学6年の矢埜哲也さん(12)と遠山有希さん(11)が平和への誓いを読み上げた。【井上梢】
毎日新聞 2009年8月6日 9時44分(最終更新 8月6日 12時56分)