ネットスイートが富士通と販売業務提携
ERPはオンプレミスから着実にSaaS型へ〜ネットスイートCEO
2009/08/05
ネットスイートは8月5日、富士通、富士通ビジネスシステム(FJB)の2社と、日本における販売とサポートに関する業務提携を締結したと発表した。富士通とFJBは、ネットスイート製品の導入支援からサポートまでを一貫して提供する。
米ネットスイートはオラクル創業者であるラリー・ネルソン氏が1998年に創業したSaaS型に特化したERPベンダ。2006年3月には日本支社を設立している。2008年度の売上高は前年比40%増の1億5250万ドルだという。また、2009年第2四半期にも270社の新規顧客を獲得している。米ネットスイート CEO ザック・ネルソン(Zach Nelson)氏は、「2007年〜2012年にかけての日本のSaaS型ERP市場の伸びは17.3%におよぶ。また、米国では、ERPベンダ部門でついに当社がトップ10に入った。そして、一番重要なのはそのトップ10ベンダの中で当社が唯一のSaaS型ERPベンダであり、なおかつ一番成長率が高い40%の成長を実現している点だ。その点からも、現在ERP市場はオンプレミス型からSaaS形式へ確実にシフトしているといえるだろう」とコメントした。
また、ネルソン氏はERPのオンプレミス型からSaaS型への移行が多いケースとして、大企業の部門や子会社を挙げた。同氏によると、ワールドワイド規模の大企業の本社はほとんどがSAPなどのオンプレミス型ERPを導入済みだが、その子会社や部署ではオンプレミス型からSaaS型への移行が増加しているとした。それを加速させているのが、ネットスイートのERPを事業部門レベルで利用可能にする「NetSuite OneWorld for SAP」と、このOneWorldアプリケーションとSAPシステムを連携させる「SuiteCloud Connect for SAP」だ。
この両サービスは、SAPとネットスイート製品の連携を実現するもので、「SAPを入れるほどの規模ではない部署や支店」(ネルソン氏)での導入が進んでいるという。同氏は「既存のSAPやOracleなどのERP資産を最大限に生かすためにも、部門や支店でのNetSuite OneWorldの導入が進んでいる。グローバル企業である旭化成でも部門単位で導入している。また、最近ではグリーンITの観点からも、統合データセンターで一括管理するSaaS形式の方がより環境に優しいと判断され、導入を加速させる要因となっている」と説明した。
そのネットスイートは2006年の日本支社設立以来、現在約100社の顧客を日本に持つ。その日本法人では、8月4日付で元SAPジャパンでバイスプレジデントを努めた田村元氏が代表取締役社長に就任。同氏の最初の仕事が富士通、FJBとの販売業務提携締結だったという。
提携の内容は、富士通とFJBが日本国内においてネットスイートの日本市場対応版「NetSuite-Release J」の導入支援からサポートまでを一貫して提供するというもの。富士通とFJBはネットスイート製品の月額利用料の一部を手数料として受け取るほか、独自のサポート料金を設定して提供する予定だという。また、導入時のSIも全般的に行う。田村氏は、「日本でSaaS型ERPを導入している企業のほとんどが、SIerなどを通してカスタマイズや設定などを行ったうえで導入している。そういう意味で日本トップクラスのSIerとしての富士通が当社と提携した点は大きい。富士通の日本有数のSIノウハウに非常に期待している。富士通にしても、SaaSビジネスを立ち上げるうえで当社のビジネスモデルを活用できるのは差別化する意味で重要だろう」と説明。ネルソン氏も「当社は一夜にして登場し、成功した企業のように思われている場合が多いが、実は設立後10年近く苦労して最近ようやくクラウドの時代が来た、という経験がある。富士通にとっても当社の10年の経験を手に入れるのは、SaaSビジネスを立ち上げるうえで非常に強みになるだろう。つまり、両社にとって非常にメリットの大きい提携だ」とコメントした。
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