自民マニフェストに見解―日医
日本医師会(唐澤祥人会長)は8月5日、定例記者会見を開いた。この中で中川俊男常任理事が、先月31日に公表された自民党政権公約「政策BANK」に対する日医の見解を示した。来年度の診療報酬改定についてプラス改定を明記していることや、消費税を含む税制の抜本改革を掲げたことは評価する一方、「財源の配分が大病院志向である」と指摘し、病院や診療所の枠にとらわれず、医療機関全体の底上げを目指す視点の必要性などを訴えた。
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医療基盤の整備について、自民党は「補正予算を通じ、地域医療の再生や災害に強い病院づくりを進める」と主張している。これに対し中川常任理事は、補正予算だけでは不十分であり、来年度の診療報酬を「十分に」引き上げるべきと訴えた。また、「地域医療の砦たる大学病院の医療体制を整備する」「社会保険病院や厚生年金病院では必要な病院機能を維持するよう対応する」などの主張に対しては「財源の配分が大病院志向である」と指摘。「地域医療全体の底上げが必要」とした。
レセプトオンライン請求の完全義務化については「見直しが必要」と主張、マニフェストへの記載を訴えた。
自民党が消費税を含む税制の抜本改革として、「2011年度までに必要な法制上の措置を講じ、経済状況の好転後遅延なく実施する」としていることについては、「新たな財源の提案はこれまで医師会が主張してきたこと」と評価。しかし、2009年度予算では、7.1兆円の消費税収(国分)に対し、消費税収を充てるべき、後期高齢者医療・介護・基礎年金の3分野にかかる費用は16.2兆円と、9.1兆円分の不足を指摘。その上で「消費税のあり方に十分な説明が必要」と述べた。
高齢者医療制度については、自民党が、高齢者の保険料負担が過大にならないよう、公費負担の拡大に取り組むとしていることには「主張してきたとおり」と評価。用語として「長寿医療制度」ではなく「高齢者医療制度」を用いていることについても「日医の主張と同じ」と述べた。
また、自民党の「外来の患者負担の月額上限を半減にする」との主張に対しては「高く評価したい」とする一方、若年世代の負担割合の軽減も併せて訴えた。
このほか、自民党が「社会保障制度改革国民会議(仮称)」の設置に向けた法整備を進めるとしていることに対しては、「新しく会議を設置する場合は、理念を明確にし、国民の立場に立って、広く意見を求めるような会議体としていただきたい」と要望した。
更新:2009/08/05 21:32 キャリアブレイン
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